表紙の小さな物語

2018.1.16

高畠に云い伝えられる白狼伝説をモメントに。

2018年2月号(160号)表紙

今年の新年号も、大江町を拠点に活動している「吉田勝信」さんに干支絵をつくっていただいた。風土に育まれた文化や暮らし、営みに関わる地域文化の調査研究を行ないながら、デザイン・流通・表現などのものづくりに関わる事柄を民俗の延長上においた創作活動をしている彼が、今回描いてくれたのは、戌の根源である「狼」。古来の日本では、農業の邪魔をする鹿やイノシシなどを食べてくれるため、ご利益がある生き物として狼・山犬を神格化する習俗があったという。

 

また、日本狼の歴史を綴った文献や民話、神社の絵馬などには、「白い狼」に纏わる伝説が古くから全国各地に伝わっており、ここ山形県にも(以下抜粋)平戸の城主、松浦静山が文政4年11月(1821年)甲子の夜から書き始めたという「甲子夜話」巻43にも「白狼」の記事がある。それは、織田氏が郷里の羽州高畠(山形県東置賜郡高畠町)で白狼を獲たが、その大きさは仔馬ほどで、家臣が荷ごしらえして駅馬に積もうとしたところ、馬がどうしても受けつけなかったという話である。

原文には、「其の家士、荷拵へして当地へ持ち出でたるに、駅馬いかにしても荷を受けず、馬夫等訝(いぶか)りて荷物は何品なるやと問ふ故、然々(しかじか)と云えば、さればよとて肯(がえん)ぜず、止むことを得ずして家士の駕籠に付けて持ち越したりと聞く」とあり、今回の表紙絵は、そんな神獣ともいえる「白狼」をモメントに、絵馬や除災札の要素も加味して、吉田さんに図象化していただいた。

 

自宅工房にて文献を見ながら図柄を練る、吉田勝信さん。

 

2018年2月号(160号)やまがた厄除け小話
表紙絵:吉田勝信さん
山形県西村山郡大江町

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