表紙の小さな物語

2018.2.8

モノをコトとしてとらえ、大切にする気持ち。

2018年3月号(161号)表紙

田畑はまだ白い雪原が広がる、モノクロームな風景。けれど、陽射しがさしこむ明るい居間からは、幼い姉妹が遊ぶ笑い声が聞こえる。今回は、長井市にある『おもちゃ屋 Kimi』の店主であり、フリーフォトグラファーとしても活動されている船山裕紀さんのお宅へ。

机や椅子を土台にして積み木を組み立てて、さながら「ピラゴラ装置」のようなのからくりを上手に作って遊ぶのは、姉のちよさんと妹のやえさん。いろんな仕掛けのなかで玉が転がっていくさまは、見ているだけでも楽しい。「一緒につくろうね」と手を添えるちよさんと、「ひとりでできるもん」と自分で作れるところをみんなに見せたがる、やえさん。やえさんの頭にちょこんと付いた可愛らしい水色のリボンは、ちよさんが色紙を折って作ってくれたものだという。いつも一緒で仲良しだという姉妹、にこやかに顔を見合わせながら遊ぶ光景が、とても微笑ましい。

 

ほかにも部屋のなかには、オランダ出身の絵本作家「レオ・レオニ」の絵本や、「わたしはだあれ?」など可愛らしいイラストが描かれたボードゲームやキッズゲームが、いつでも手にとれるように整然と置かれていた。「親子で一緒に遊べるおもちゃばかりです」とは、父親の船山さん。なるほど、はじめから完成されたカタチの玩具ではなく、からくり積み木のように「考え方」を育てる玩具は、私たちがふだん何気なく暮らしている中にある事象に、ふと気づかされると思うし、「レオ・レオニ」の絵本にしても、一度読んだだけでは、明確にならない物語の奥底に隠された“何か”を、自分なりに解釈したり想像力を膨らませる余白は、年齢を問わない奥深さがある。

 

子供を“あやす(機嫌をとる)”だけのモノではなく、大人も子供も一緒になってのめり込んで楽しめるコトの大切さ。「飽きたら捨てる」ではなく、世代をこえて継いでいけるおもちゃと、船山さんご家族の和やかな日常からは、忘れかけていた「モノをコトとしてとらえ、大切にする気持ち」を感じとれた、嬉しい一日であった。

(photograph: Yuki Funayama)

 

たくさんの積み木を組んで「仕掛け」をつくる、ちよさんとやえさん。

 

幼児から遊べるカードゲーム「わたしはだあれ?」で遊ぶ二人。「知識」、「記憶力」、「想像力」、「 言語力」が試されるという奥深さもある。

 

シンプルで可愛らしく、かつ丈夫な木のおもちゃ。親から子へ継いで、長く使えるものだという。

 

「やった〜、わたしの勝ちっ」と笑う、やえさん。お姉さんが作ってくれた青いリボンが可愛らしい。

 

2018年3月号(161号)やまがた冬の農村文化
表紙モデル:ふなやまちよさん(姉)、やえさん(妹)
山形県長井市

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