特集の傍流

2017.11.8

名店に訊きました。日本ワイン、山形ワインの愉しさ教えてください。

2017年12月号(158号)やまがたワイン考〈後編〉
株式会社エムズダイニング 代表取締役 菅沼正樹さん
旬菜みつや 店主 小長光史也さん
東京都新宿区神楽坂
東京都新宿区新宿

やまがたのワインの魅力を、外側から俯瞰する「やまがたワイン考〈後編〉」。今回は私たちの郷里・山形で育まれたワインたちのリアルな実力を、都内の料理店主に語っていただいた。

 

東北ワイナリー業界を、率いるのは山形!

 フレンチベースのレストランながら、昆布だしや味噌、醤油といった日本食に欠かせない調味料を駆使したカジュアルフレンチ料理が評判の「アガリス神楽坂」(東京都新宿区神楽坂)。壁一面に書かれた日本各地のワイナリー関係者のサインは、日本ワインの普及を支える店として、厚い信頼を受けている証だ。

 

 

 

話を伺った菅沼オーナーは、日頃からライフワークとして日本各地のワイナリーを訪れ、収穫や仕込みのボランティアにも参加するという、まさに職人気質の日本ワイン通。山形のワインについて尋ねると「北海道や長野に比べたら残念ながらまだ知名度は低いように感じます。でもブドウの生産からワイナリーの技術力、規模、そしてワイン自体のクオリティなどを踏まえると、東北の中心は断然山形なのではないでしょうか。その自負と自覚が高まることを、これからさらに期待したいですね」と話す。

 

「山形のワインはわりと値段も親しみやすい商品が多いので、まずは身近なワインを手にとって、気軽に飲んでいただければ。そのとき、普段から食している山形の旬食材や郷土料理にも合わせてみる、そうした食事の時間を愉しむ工夫も大切で、おいしさの感度が高まると思うんです」と教えてくれた。

 

食材、料理、ワイン、そしてそれを食べる私たちも。テーブルを山形色で埋める時間とそこにワインのある風景、これからもっと気軽に叶えていいらしい。

 

幾度となく山形に訪れた思い出と山形ワイン愛を語る菅沼さん、ワインのストックも膨大だ。

 

調理をする「AGARIS 神楽坂」店長の杉山さん。

 

ローストビーフと数種の野菜を盛り合わせた一皿。軽快な味わいの辛口の赤「ソレイユ・ルバン ヤマソービニオン2015」(月山ワイン/鶴岡)との相性が絶妙とのこと。

 

「アガリス神楽坂」のスタッフの皆さん。

 

漬物とワイン、どちらも発酵つながりでよく合います。

 まだ馴染みが薄いワインと和食の組み合わせだが、ここ「旬菜みつや」は、その相性の良さを愉しめることで定評のある店。海外の日本国大使館で専属料理人として長年活躍し、帰国後その経験を活かして日本料理と日本ワインの店を開いた、店主の小長光さんは「日本ワインっていい意味で自己主張が激しくないので、日本のだしのような繊細な食文化の料理に合うんですよね」と話す。

 

小長光さんが日本ワインを提供するきっかけは「ある時、月山ワインのソレイユ・ルバンを飲んで感銘を受けたんです。山形の甲州ブドウ、すごいなと。自分の料理に合うと直感しました」それから日本ワインのラインナップが増えていったんだとか。

「考えてみたら山形はおいしい果物が育つ場所なので、ワインも絶対おいしいはず。山形産のワインはどれもブドウのポテンシャルを生かして仕上げている印象があります」と魅力を語ってくれた。

 

さらに「山形は漬物の産地でもありますが、ワインも漬物と同じ発酵食品です。なので白菜漬にロゼワインとか、すごく相性がいいですよ」との指南も。“合わせ”の妙味、試してみる価値ありそうだ。

 

 

木の温もりが伝わる瀟洒な店内。山形には年に一度のペースで訪れ、ワイナリーの見学や山形の旬味を味わうという小長光さん。

 

 

出汁のきいた野菜の和え物と貝の一皿。辛口でほのかな甘みのあるスパークリング白「小姫○(あわ)2015」(酒井ワイナリー/南陽市)と優しい味わいに調和する。

 

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