特集の傍流

2017.11.10

ワインの良さを伝えていくために、私たちが楽しみながらできることとは。

2017年12月号(158号)やまがたワイン考〈後編〉
レコール・デュ・ヴァン 専任講師  塩入早苗さん
東京都新宿区新宿

日本では近年、小規模でも自ら育てたぶどうでのワイン造りを志す生産者が増えてきた。特に2000年以降は各地で様々な形のワイナリーが増え、その質も上がっている。ワインを日常で楽しみたい人など、幅広い年代の受講生を抱え、ソムリエやワインエキスパートの資格試験で高い合格率を誇るワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」でも、日本ワインの応援団が育ってきていると話してくれたのは、専任講師の塩入早苗さんだ。

 

ワイン産地としての山形、その実力と魅力。
そして、ワインをより日常的に楽しむためには?

 塩入さんは、ワイン業界を牽引する講師のお一人。彼女の日本ワインを扱う特別スクール(講座)は、毎回即満席になるほどの人気ぶりだ。国内のワイナリー見学を、その特別スクールとして設けているのも、実際に現地へ足を運び、生産者の話を聞いたことがきっかけだったという。
塩入さんは語る。
「山形県は土地自体が歴史ある産地。樹齢の高いぶどうの木もあり、良いワイン造りの環境が揃っている点が強みです。また、とても実直な印象を受けるワイナリーが多く、それがワインにも表れています。奇をてらった派手さはありませんが、飲むと染み入ってくるような味わいの良さがありますし、自信を持って県外にアピールしてほしいと感じます」。

しかしそうはいっても、ワインは日本酒と比べると難しそうで敷居が高く、なかなか踏み込みにくいと感じる人も少なくない。「このスクールの受講生さんたちも、最初はそうなんですよ」と塩入さん。
「でも、興味を持つきっかけは、本当に何でもいいんです。あのワインが美味しかったからもっと知りたくなったとか、ワインを飲んでいるってオシャレとか。興味をもつきっかけは人それぞれですし、そのきっかけさえ手に入れれば。ワインはもちろん理屈なく美味しいものだと思いますし、純粋に飲んで味わうのも楽しみのひとつですが、そこから一歩踏み出すことでもっと面白くなるんですよ。本で知識を増やしたり、品種を意識してみたり、地元のワイナリーに足を運んでみたり。まずは〝もっと知りたい〟を増やしていければいいですよね」。

 

特別スクールのフィールドワークなどで、山形のワイナリーにも度々足を運んでいる塩入さん。

 

「ワインの印象を語ることも良いことですが、造られたワインの背景を深く伝えることが大切だと感じます。手にしたワインがどのような環境や歴史、想いの中で育まれたものなのかを知り、それを仲間と共有して、共感できたら素敵ですよね」と塩入さんは微笑む。

 

実際の講座の様子。「スクールの講座も、そのワインの背景を共有しあって、それを皆さんと一緒に共感できるものでありたい」と塩入さん。

 

また、山形の食べ物とワインの組み合わせを考えることも、楽しみを広げる良法。「特に、馴染みのある地元の食材ですと、生活に取り入れやすくなりますよね。そういった食材と地ワインのマリアージュを普段から調べたり試したりして、互いに薦め合えれば、冒険感や意外な再発見もあるでしょうし、これから良さを伝えていく若い方の興味も広がるのではないでしょうか」。
良さを享受し伝えるには、身近な場所と食材から。美味しさの背景を「もっと知りたい」という感興が、やまがたのワイン、さらには日本ワインをも盛り上げていくに違いない。

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