特集の傍流

2018.4.5

暮らしのなかに山形が在るから、1年ぶりでも「久しぶり」じゃない。

2018年5月号(163号)あの人の、やまがた観察記。
加藤紀子さん
東京都港区南青山

◇今回の特集では、仕事やプライベートで山形県と親密な関わりを持っている3人の女性たちを取材。彼女たちの視線の先にある山形、それを知ることで、住んでいる我々とは違った印象の〝ふるさと〟が見えてくることを期待して。トップバッターは、タレント、女優として活躍中の加藤紀子さん。

 

県内全市町村を歩いた、芸能界きっての山形通。

 山形放送の番組内でリポーターを務めたことをきっかけに、山形との関わりが深まったという加藤さん。2016年からは当ホームページ「gatta!web」内でコラムを担当し、その山形愛を惜しみなく書き記してくれた。4月更新分で最終回となるが、そんな加藤さんが見ている山形とは。
「最初、番組リポーターのオファーをいただいたときに、なんで私なんだろうと思ったくらい、山形とは縁もゆかりもなくて。ただ何回かロケで行ったことのある場所という認識でした。でもせっかくの機会だし引き受けてみたら、すごい楽しくなっちゃって。最後はこの仕事を譲りたくないってぐらいに思いました」

 

番組制作で訪ねた先の農家のお父さん、お母さんたちと一緒に畑仕事をしたり郷土料理作りをしたり、テレビのなかにはいつも地元の人たちと笑顔で会話する加藤さんの姿があった。
「番組を卒業してからも何回か山形には行ってまして、とくに毎年冬になると、長井市で味噌作りの仕込みをしているんですよ。もう4年も続いているので、普段我が家の食卓に上る味噌は山形の味ですね」

 

3月上旬、仕事をきっかけに親しくなった山形の友人たちと、長井の『なごみ庵』で、年に一度の味噌仕込み。

 

「自分たちでつくった味噌の味は格別、もちろん来年も来ます」とは加藤さん。

 

 

きっかけは仕事だったが、プライベートでも訪れる機会が生まれ、現在では山形県内の市町村をぼぼ訪ね歩いたという。彼女を駆り立てる山形の魅力ってなんだろう。
「山形って、その土地によって町の表情も言葉も変わるんですよね。そこがまた面白いし、季節ごとに行く目的が見つかるというか。例えば夏の庄内、庄内空港へ降りていくときに見える景色がすごく綺麗だったり、最上地方には紅葉の秋に行きたいなとか。そんな風に、地域の表情は違うんだけれども、どこへ行っても受け入れてくださるというか、その土地土地でのもてなしかたがとても優しく感じるんです」

 

自分の畑で、山形野菜を生育中。

 海と山を有し、恵まれた風土から豊かな食材が育まれる山形。加藤さんは以前から畑で野菜を育てる菜園家でもあるが、その畑には山形で種を仕入れた野菜もあるのだとか。
「ええ。山形で買ったオカヒジキの種を蒔いて育てました。自分の体に入れるものを楽しみながら味わいたいという思いは前々からあって、それで野菜を育てたりしていたわけですが、山形を巡っている間に出会った人や食べ物がその思いをより強くしてくれた気がします。その土地特有の食べ方や暮らしの知恵が根付いた作り方、食文化があって、山形の恵まれた風土からおいしいものが生まれ、その食材を活かすように育てる人たちがいる。山菜や在来野菜とか、その存在と食べ方を知ることも、私自身にとってはすごく大切な知識になりました。なので山形やそれに関わるいろいろなことが普段から暮らしのなかにあるという感覚です」
親族はもとより知人友人、誰ひとり山形県民との接点がなかったという加藤さんだが、見る人を和ませる明るい笑顔とまっすぐな好奇心を武器に、多くは内向的と称される山形県民の心をつぎつぎと開いていったのだろう。山形で出会った人々がみな、加藤さんが放つオーラに光を感じ、仕事の壁を超えて縁が結ばれていったことは想像に難くない。山形での思い出話は尽きないようで、訪れた土地それぞれの景色、食、文化、そして人びとへの愛しさを目を輝かせながら語ってくれた。その表情はいきいきと眩しく、山形県民であることを誇らしくさえ感じさせてくれた。

 

加藤さん自身も度々訪れるという南青山にあるカフェテラスにて、山形への想いや、たくさんのエピソードを語っていただいた。

 

 

「gatta!とのご縁も本当にこれで最後とは思っていません。山形でも都内でも見かけたら必ず手に取ろうと思います。山形にはたくさん友達もできましたし、皆さんに〝おかえり〟って言ってもらえること、それがもう何より嬉しいので、きっとまたいつかお会いできたら」
これからも加藤さんが会いに来たくなる山形の魅力、その由縁を探り続けることが、gatta!の使命へと連鎖できますよう。

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