特集の傍流

2018.4.6

私にとって山形は、いつでも〝ラーメンの憧れの地〟です。

2018年5月号(163号)あの人の、やまがた観察記。
本谷亜紀さん
東京都港区赤坂

◇ラーメン消費量が日本一の山形県は、ご当地ラーメンの宝庫でもある。個性的な面々ならぬ〝麺々〟が溢れる山形は、その道のプロからはどう見えているのだろう。
人気のラーメン評論家の彼女に、食の視点から山形を尋ねてみました。

 

山形は、〝まだ何かあるんじゃないか〟と思わせてくれる。

 ラーメン評論家として、全国各地のラーメンを食べ歩いている本谷亜紀さん。テレビユー山形(TUY)の番組「山形麺遊記」でMCを数年務めており、普段は都内のコンサルティング企業に勤務しながら、フリーでラーメン評論家として活動している。一日一麺をモットーに、都内はもちろん、週末は必ずといっていいほどご当地ラーメン巡りで地方に足を運んでおり、プライベートでも幾度も山形を訪れるほどの傾倒っぷりだ。

「山形の麺文化は本当に素晴らしいものがあると思います。そもそも、山形の皆さんのラーメンへの熱意とこだわりが凄い。一つの県で、地域ごとにここまで違ったご当地ラーメンを味わえるなんて、ラーメンファンとしては憧れの地ですし、ラーメン好きが全国を食べ歩きする中で、山形は絶対に外せない県です」と、さっそくの太鼓判。
「都内で山形のラーメンを食べられるお店はわずか数軒なので、わざわざでも山形でしか味わえないラーメンに会いに行きたい」と熱意を感じるコメントに、「山形はラーメン以外も、お肉はもちろん、山や海の幸もおいしくて飽きませんし、それぞれの地域で食文化が全く違うのも興味深いです」と、グルメ全般も好感触のようだ。

 

大石田町出身の店主が、旬を吟味した海・山・里の幸を和食で提供する「赤坂あじさい」にて。姉妹店「肉そば鶏中華 最上川」では、山形名物「冷たい肉そば」を提供している。取材後日、さっそく足を運んだ本谷さん、「山形の味を思い出しました!」とコメントを寄せてくれた。

 

温泉も好きな本谷さん、食と温泉と観光が近い距離で関わり合っている山形はとても魅力的に映るという。そんな彼女の来県数は、他の都道府県と比べてダントツ。 「山形は訪れるたびに知らなかった名物や場所を発見することがあり、本当に奥が深いなあと。ロケでこんなに行っているなら、プライベートで行かなくてもいいじゃない、と言われるんですが、季節によって印象や食べ物も違いますし、山形は〝まだ何かあるんじゃないか〟と思わせてくれます」

 

本谷さんが取材で使用しているカメラ。遠近によって使い分けているという。

 

本当は親しみやすい山形人。もっとアピールしてみては。

 当初は漠然と、東北全体に閉鎖的なイメージを抱いていたという本谷さん。
「けれど、実際はとても親しみやすい人たちばかり。ロケの合間の散歩中などにも気さくに話しかけてくれたり、ラーメン屋の店主さんや居酒屋の女将さんも、こだわりなどを凄く語ってくれたり。最初はどこかバリアを張っているように感じても、〝山形好きなんです!〟というと、一つ聞いたら十教えてくれるような。それに、山形の人は驚くほどに食とお酒に詳しくて、ありがたいことに知識がどんどん増えていってます」
そんな山形人に対して、とてもいいものを持っているのに、控えめでアピールが苦手なのではと感じることもあるという。
「牛肉を食べても〝いやあ、牛肉なんておいしいの当たり前ですよ〟と話されて、勿体ないなあと。例えば、山形のラーメンは手打ち率がとても高いんですが、〝田舎だから当然ですよ〟と謙遜せずに、どんどんアピールしてほしいです。当たり前のことを当たり前と思わずに発信していった方が、観光客や食べ手も気づきが増えますし、それがきっかけで、その背景にストーリーを感じて、訪れる方々が山形をもっと楽しく思えたら素敵ですよね」

 

ラーメン以外にも、様々なジャンルの料理を食べ歩く経験が評論に生きる。

 

山形を想う気持ちが言葉から優しくにじみ出る、そんな本谷さんにとって山形とは?
「私にとって山形は、いつまで経っても〝ラーメンの憧れの地〟です。今はネットで簡単にお店の情報が手に入りますが、山形はそれだけでは知ることのできないお店も多いですし、だからこそ、単なる情報だけでなく魅力をきちんと伝えていきたい。実際に行ってみると、まだまだ知らないものがたくさんある、そんなラーメンと山形をもっともっと知りたいです」
今後も、県内各地で様々な山形グルメに顔をほころばせる彼女の姿に出会えそうだ。

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