表紙の小さな物語
寒い季節であっても、雪が降ろうものなら雪遊びをする。けれどどうしても、絵本を読んだり折り紙やあやとりで遊んだりと、インドアで過ごす時間が多くなってしまうもの。そんな子どもたちが心待ちにしている“春”が、微かな足音を立てながら近づいてきている。本格的な春になれば、タンポポやヒメオドリコソウなどが色を添えるであろう河川敷も、今は枯れ草色と申しわけ程度の緑がうっすらと広がるのみ…。そんな閑静な住宅街近くの河川敷を、なわとびをしながら元気いっぱいに駆けていくのは、体を動かすことが大好きだという、加藤萌寧(もね)さん。その表情は、見ているこちらまで楽しくなってくる笑顔だ。

まだ残雪がのこる龍山に向かって河川敷を駆ける萌寧さん。弟さんは土掘りに夢中。
日差しは温かいながらも、風は少しだけ冷たい。しかし、子どもは風の子とはよく言ったもの。漕ぎ出したブランコはぐんぐん高度を上げていき、しんと澄んだ空気の中に、笑い声を含んだ呼気が溶けていく。現代っ子はゲームばかりで外で遊ぶ機会が少なくなってきているとはよく耳にするが、そんな危惧など感じさせないほどに時間を忘れて遊ぶさまを見ていると、ふと、自分も幼い頃は家の近くの公園で、こんな風に体を動かして遊んでいたなあと、しみじみ童心を思い出してしまう。

暖かくなってきた陽射しに誘われて、子供たちが次々と公園に集まってきた。
萌寧さんは特に公園のうんていがお気に入りなのか、小さな頃から落ちてはまた上ってを繰り返していたそうだ。しかし今では一段飛ばしで進んだり、鉄棒の逆上がりをするように回ってみせたりと、動きがアグレッシブに。そんな萌寧さんも、四月から保育園の年長組。「成長が一段と楽しみになる、これからのひとときを大切に過ごしたいですね」とご両親。
遠くに見える山にはまだ雪が残り、花が咲き始めるにはまだ少し遠いかもしれない。けれど、巣ごもりの虫も顔を覗かせ始める季節は、もうすぐそこに。

表紙モデル:加藤萌寧さん
山形県山形市
菅原道真を崇める天神信仰による臥牛像や、民芸品の赤べこ、俵牛など、神の使いとして親しみ深い牛。なぜ神使…
あいにくの曇り空。いまにも雨が溢れ落ちそうな初冬のある日。大人はベンチコートをまとっても足踏みするほど…
向かったのは山形県を代表するそば処として有名な村山市。国道13号線を北進し、県道25号と交わる交差点か…
山ふもとに果樹園が広がる朝日町。町の中心に位置する「宮宿商店街」を歩いていると、菓子店の換気扇から漂って…
まだ夏の気配が冷めやらぬ8月下旬、集まった3人は従姉妹同士。黄色いTシャツのみのりちゃんとピンクのハッ…
最上三十三観音の第一番札所として知られる若松観音。「目出度目出度の若松様よ〜」と花笠音頭の歌詞にも登場…