表紙の小さな物語

2016.3.5

駆け回る“風の子”、微かな春を追いかけるように。

2016年4月号(138号)表紙

寒い季節であっても、雪が降ろうものなら雪遊びをする。けれどどうしても、絵本を読んだり折り紙やあやとりで遊んだりと、インドアで過ごす時間が多くなってしまうもの。そんな子どもたちが心待ちにしている“春”が、微かな足音を立てながら近づいてきている。本格的な春になれば、タンポポやヒメオドリコソウなどが色を添えるであろう河川敷も、今は枯れ草色と申しわけ程度の緑がうっすらと広がるのみ…。そんな閑静な住宅街近くの河川敷を、なわとびをしながら元気いっぱいに駆けていくのは、体を動かすことが大好きだという、加藤萌寧(もね)さん。その表情は、見ているこちらまで楽しくなってくる笑顔だ。

 

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まだ残雪がのこる龍山に向かって河川敷を駆ける萌寧さん。弟さんは土掘りに夢中。

 

日差しは温かいながらも、風は少しだけ冷たい。しかし、子どもは風の子とはよく言ったもの。漕ぎ出したブランコはぐんぐん高度を上げていき、しんと澄んだ空気の中に、笑い声を含んだ呼気が溶けていく。現代っ子はゲームばかりで外で遊ぶ機会が少なくなってきているとはよく耳にするが、そんな危惧など感じさせないほどに時間を忘れて遊ぶさまを見ていると、ふと、自分も幼い頃は家の近くの公園で、こんな風に体を動かして遊んでいたなあと、しみじみ童心を思い出してしまう。

 

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暖かくなってきた陽射しに誘われて、子供たちが次々と公園に集まってきた。

 

萌寧さんは特に公園のうんていがお気に入りなのか、小さな頃から落ちてはまた上ってを繰り返していたそうだ。しかし今では一段飛ばしで進んだり、鉄棒の逆上がりをするように回ってみせたりと、動きがアグレッシブに。そんな萌寧さんも、四月から保育園の年長組。「成長が一段と楽しみになる、これからのひとときを大切に過ごしたいですね」とご両親。

 

遠くに見える山にはまだ雪が残り、花が咲き始めるにはまだ少し遠いかもしれない。けれど、巣ごもりの虫も顔を覗かせ始める季節は、もうすぐそこに。

 

2016年4月号(138号)本のある生活
表紙モデル:加藤萌寧さん
山形県山形市

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