表紙の小さな物語

2016.6.10

万緑を駆けるみずみずしい笑顔、小さなタグラグビー兄妹。

2016年7月号(141号)表紙

5月も下旬になると、山の緑が色濃くなり、日差しも強さを増してくる。お母さんと一緒に、ラグビーボールを抱えながらやってきたのは、冨澤漣(れん)くん(7歳)と、冨澤那奈子さん(4歳)。年少者向けのラグビーである「タグラグビー」をしている漣くんは、小学一年生にしては背丈が大きく、日に焼けた肌がその活発さを物語っている。撮影を待っている間も、ラグビーのボールで遊んだり、ボールを使ってお母さんにちょっかいをかけたりと、じっとしているよりも体を動かすのが好きなようだ。

 

那奈子さんもラグビーをするのかとうかがうと、小さなソフトラグビーボールで「ラグビーをするという感じではなく、ボール遊びをする感覚ですね」とお母さん。そんな那奈子さんに、ラグビーの何が好き?と訊ねると、「走ること!」と返ってきた。撮影場所へも、スキップしながら楽しそうな足取りで向かう。遠足に行ってきた後だというのに元気いっぱいな那奈子さんも、いずれはタグラグビーをするようになるのかもしれない。

 

タグラグビーは、タックルの危険性を避け、ルールを単純化し、年齢や性別、経験に関わらずプレイできることから、今では小学校の体育の授業で導入する事例もあるという。二人のお父さんは高校時代からラグビーをされているということで、二人がボールに親しみ、ラグビーをするようになったのは、やはりお父さんの影響が大きいようだ。

 

撮影場所である山形市立第一中学校のグラウンドでは、高校生がラグビーの部活動中。漣くんはこのグラウンドで、週に一回練習しているという。本格的にタックルをしたりされたりということはまだなく、「お友達と一緒に、楽しみながら、楽しく、仲良くやっていこうという感じですね」とお母さんは話す。

 

活気ある声が響く横で、年季の入ったラグビー用具の上で遊び始める二人。じゃんけんをしたり、あっち向いてホイをしたりと、本当に仲の良い兄妹だ。

活気ある声が響く横で、年季の入ったラグビー用具の上で遊び始める二人。じゃんけんをしたり、あっち向いてホイをしたりと、本当に仲の良い兄妹だ。

 

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グラウンドへ移動すると、砂遊びに夢中になっている那奈子さんを見て、漣くんも砂遊びに参戦。お兄ちゃんとして妹にちょっかいをかけたいのだろうか、那奈子さん作・砂のケーキをボールで壊してしまった漣くんだったが、ボールを地面に当て、ずるずると押しながら大量の砂を引きずってきて、ケーキを大きくしてあげたことには那奈子さんもご満悦の様子。

 

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小さなボールを使って、二人でキャッチボールを始めると、漣くんは「(ボールが)ちっちゃいから取りにくい!」と言いつつ、那奈子さんが取りやすい位置にボールを投げてあげている。砂遊びのときといい、ボールの投げ方といい、本当に妹思いのいいお兄ちゃんだ。途中、突然の通り雨にも見舞われたが、山形県庁そばの県民緑地に移動すると、樹々の根元にはたくさんの松ぼっくりが転がっていた。

 

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二人はかけっこをしたり、拾い集めた大量の松ぼっくりを用水路に流したりと、また新たな遊びを楽しんでいる。楽しそうな二人には申し訳ないけれども、そろそろお別れの時間……。

 

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お別れをする際、漣くんは綺麗な松ぼっくりを記念だと言って持ち帰り、那奈子さんは「またお写真とりたい!」と笑顔を見せてくれた。

 

時間を気にせずに遊ぶさまにはみずみずしい力を感じるし、本当に子どもは自然の緑が似合う、生命力にあふれる存在だと思わされる。5月に「こどもの日」があることや、「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という俳人・中村草田男の句があるように、自然と子どもが共に並んだり描かれたりすることからも、両者はとても近しい存在なのかもしれない。

 

2016年7月号(141号)いざ、癒しの地へ。
表紙モデル:冨澤漣くん(7歳)、冨澤那奈子さん(4歳)
山形県山形市松波

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