表紙の小さな物語
まだ肌寒さが残る3月下旬、待ち合わせしていた線路沿いのおじいちゃんの家に着くと、元気いっぱいの笑顔で迎えてくれたお兄ちゃんの和也くんと、弟の悠輝くん。
おじいちゃんの家に遊びに来るたびに電車を見たり、その音を聞いたりしているせいか、「電車が好きなんです」とお母さん。「駅が近いんだよ!」「すぐそこなんだよ!」と、自然と自分から、自分の知っていることや普段見ている景色を教えてくれたり、案内しようとして駆け出す姿が微笑ましい。
線路の向こうには、田畑、その向こうには、まだ雪がうっすらと残る山々。いかにものどかな田舎風景が広がる。
少しくらい肌寒くたって、子どもはへっちゃら。日頃からかけっこをしているのか、走るのが速い和也くんは、お母さんと手をつないで歩く悠輝くんや私たちをあっという間に追い抜いて、駅の構内へ。でも線路付近で遊ぶのは危ないので、近くの田んぼで思いっきりかけっこ。

畝(うね)の上を走る和也くんと、追いかける悠輝くん。こんな遊びができるのも、自然がすぐそばにあるから。
2人の姿に笑いかけるように、少し陰っていた空も日差しを見せ始める。田畑をこちらに向かって駆けながらも、お兄ちゃんらしく弟が転ばなようにと心配する和也くんと、楽しそうな悠輝くんの姿を収めた1枚が、今号の表紙となった。
途中途中、楽しくなってきたのか「(写真を)見せて!」「もっかい撮って!」とのリクエストも。楽しんでくれたようでこちらも嬉しい。最後の方は疲れてしまったのか、お母さんや私たちにおんぶをせがむちょっと甘えたな悠輝くんと、まだまだ元気が有り余っている和也くん、2人仲良くくっついてパチリ。これからも仲の良い兄弟でいてほしいものだ。
ダウンジャケットの色と、広がり始めた草の緑、そして2人の笑顔が、目に鮮やかだった。

表紙モデル:武田和也さん、武田悠輝さん
山形県山形市陣場南
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