表紙の小さな物語

2018.6.6

器用で陽気な、ふたりのシャイボーイ。

2018年7月号(165号)表紙

爽やかな薫風に若葉がそよぐ季節。今回は、龍山の麓の閑静な住宅地にある一軒、斉藤さんのお宅へ。「ふたりともシャイボーイなので…」と、お母さんから伺っていたのだけれど、そんな心配よそに「あいてますよー、はいっていいですよー!」と、快活な声を響かせ、わたしたちを玄関で迎えてくれた、兄の晴太くん(9歳)と、弟の楽くん(5歳)。

 

龍山から昇る朝日と白鷹山に沈む夕日が見える、窓からの風景が、四季をいっそう身近に感じられそう。アルネヤコブセンの大きなペンダントライトが吹き抜けのリビングにかけられていて、窓からの採光や風通しも心地良いランドスケープだ。

 

ちょうどおやつの時間。見た目にも可愛らしいクッキーやマフィンなど、お母さん手製の焼き菓子が食卓に並ぶ。庭に咲いていたものだろうか、四角いガラスの花瓶には白い花を咲かせたシロツメクサ。その傍には山形鋳物のティーポットと芳武茂介デザインのポットスタンド、菓子皿には金工作家 川地あや香さんの平皿が。一見、簡素(シンプル)だが、折節のものと当地のモノとがさりげなく調和し、食卓の上はまるで“小さな山形”のよう。

 

わたしたちも一緒にお茶と焼き菓子をいただきながら、ご両親も交えてご家族の日常やエピソードを聞かせていただく。近くの公園で虫捕りをするのが大好きだという、晴太くんと楽くん。8歳になるお兄さんの晴太くんは、ムシ博士といってもいいくらい、驚くほど虫の種類や特徴に詳しくて、宛ら小さなジャン・アンリ・ファーブルのようだ。おやつの時間のあとには、ふたりで画用紙に虫の絵を描いて見せてくれたり、晴太くんがハサミ細工で仕上げた虫の切り絵や、「鶴」を応用したドラゴンの折り紙を作ってくれた。帰り際に、「お兄ちゃん、ぼくたちが作った虫をあげようよ」と楽くん。ふたりがくれたのは、立体的で美しいアフリカメダマカマキリの切り絵。宝物にしよう。

 

昆虫や迷路を描く晴太くんと、いろんな質問を投げかけながら見入る楽くん。

 

「はい、にっこり笑ってー」だと、余計に照れちゃうよね〜。

 

「ぼくね、こんなのもできるんだよ!」ふたりが好きな遊びや得意なことを、笑顔で教えてくれた。

 

高価なおもちゃはいらない、家族が一緒ならどこでも遊び場だ。

 

「おやつですよー」の声に「はーい」とむっくり起き上がる晴太くん。

 

「おりてきて、みんなで食べようよー!」と、楽くん。

 

お母さんの手作りおかし、おいしいね。

 

2018年7月号(165号)芳武茂介とクラフトデザイン
表紙モデル:晴太くん(兄)、楽くん(弟)
山形県山形市

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