表紙の小さな物語
今年の秋に幼稚園の遠足で山寺にもみじ狩りに来たという慶太君。テレビのヒーローキャラが大好きで、幼稚園ではピアニカを練習中という元気な男の子だ。この日は仙山線に乗ってお母さんとふたりで、今年2度目の山寺散策に。山形や仙台の双方面から訪れる観光客で賑わう週末の山寺駅だが、行き交う人の流れのなかには、生活の足として利用している地元民の姿も少なくない。前日に降った初雪はあらかた消えていたが、遠方の山はうっすら雪をかぶり、手前の紅葉との美しいコントラストをたたえている。慶太君もアウターを重ね着した冬の出で立ちだ。
駅前から山門方面を目指して歩くと、山寺駅と門前町を結ぶ朱色の「山寺宝珠橋」が見えてきた。1970年以前に懸かっていた先代の橋は「高橋」と呼ばれ、この世とあの世を結ぶ懸け橋であり、高い所に居る神様が降りてきて橋を行き来するという意味があったとの逸話も残っている。
門前町や橋周辺にある其処彼処の売店では名物の「玉こん」が売られており、煮詰められた鍋から立ち昇る湯気と香りが温もりを感じさせる。慶太君も玉こんは大好きということで、さっそく行列に並ぶことに。店頭に立つおじさんが慣れた手つきで串をさして手渡してくれた。「からし付き」はもう少し大きくなってからね。さぁ、玉こん片手にいざ山寺を散策だ。お母さんを先導するように橋をわたり、観光客で賑わう門前町の通りに合流するふたり。仕事で来れなかったお父さんに、お土産話しを忘れないでね。

記念写真を撮る観光客と、通勤通学の地元民が行き交う山寺駅前。

人懐っこい笑顔で元気に挨拶してくれた慶太くん。

「さっと10分くらい煮染めたのが一番うまいんだよ」売店のおじさんから、出来立ての玉こんを受け取る。

玉こんを頬張って、さあ温まってきたぞー

鮮やかな朱色の「山寺宝珠橋」で。後ろに見えるのが、仙山線の 青い陸橋とうっすら雪化粧した面白山。

表紙モデル:佐藤慶太くん(5歳)
山形県山形市山寺
菅原道真を崇める天神信仰による臥牛像や、民芸品の赤べこ、俵牛など、神の使いとして親しみ深い牛。なぜ神使…
あいにくの曇り空。いまにも雨が溢れ落ちそうな初冬のある日。大人はベンチコートをまとっても足踏みするほど…
向かったのは山形県を代表するそば処として有名な村山市。国道13号線を北進し、県道25号と交わる交差点か…
山ふもとに果樹園が広がる朝日町。町の中心に位置する「宮宿商店街」を歩いていると、菓子店の換気扇から漂って…
まだ夏の気配が冷めやらぬ8月下旬、集まった3人は従姉妹同士。黄色いTシャツのみのりちゃんとピンクのハッ…
最上三十三観音の第一番札所として知られる若松観音。「目出度目出度の若松様よ〜」と花笠音頭の歌詞にも登場…