表紙の小さな物語
訪れたのは、柊羽くんにとってはじめての公園。いつも遊んでいる公園よりずっと広い。真っ先に滑り台へ向かって駆けていく。小さな体で吊り橋やグラグラ、階段を器用に越えながら滑り口にたどり着くと、台の上から公園の全体を見渡せたのか、柊羽くんは何かを見つけた様子で滑り降りてきた。向かった先には公園の中心に立つ大きな杉の木。
BBQ広場と芝生広場を隔てるように立つ杉の木は、4歳の柊羽くんのカラダがその幹にすっぽり隠れてしまうほど大きい。撮影をしたこの日は小雨が降ったり止んだりと気まぐれな天候だったが、この杉の木の下にいるときだけは風が凪ぎ、松の葉が霧雨を遮ってくれた。雨が止むのを不思議そうに見上げている柊羽くんに声をかけてみた。
「これ知ってる? 男の子のお守りなんだよ」と折紙の兜を手渡す。「こうやって帽子みたいにかぶると、お侍さんみたいでカッコ良くない??」
気恥ずかしそうに兜を受け取った柊羽くん。初めて見たという折り紙兜に戸惑いの表情を浮かべつつも、頭にのせたらまるであつらえたようにピッタリだ。「わー、すごく似合ってる!」目線はそのままカメラを捉えてハイポーズ。柊羽くんの笑顔に弾かれたように、雲に隠れていた太陽が顔を出した。かすかに濡れていた杉の葉がキラキラと光って呼応する。
兜とボーダーTシャツの粋なお侍いさん。
これからも街の元気と笑顔を守ってね。

柊羽くん(4歳)
山形県天童市
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