表紙の小さな物語
いざ空へ、戦闘機の模型を飛ばそう。茂木廉士(もぎれんと)くん。
あいにくの曇り空。いまにも雨が溢れ落ちそうな初冬のある日。大人はベンチコートをまとっても足踏みするほど冷えた午後だが、集まった男の子たちは寒さなんてどこ吹く風。
今回の表紙モデル、廉士くんを誘ったのはKくんだ。
「でっかい飛行機を飛ばしに行かない?」
Kくんと廉士くんは町内会も一緒、学校のクラスも一緒、週末に遊ぶゲームも一緒、楽しいことが大好きで、明るい末っ子キャラもお揃いの仲良しコンビだ。
「いいねいいね」
すぐに意気投合した2人が向かった先は運動公園。
パネルボードの端材で作られた特製の戦闘機型模型は、撮影のためにKくんのママの会社の大道具さんが用意してくれた。
「ナニコレ!でっかすぎ!」
模型を見た廉士くんの第一声。少年たちが手に持つと、上半身の8割くらいを覆ってしまうサイズ感に、狙い通りの反応が返ってきた。

廉士くん、構えが決まってるね。
飛行機模型を持って、助走をつけて、エイッ!
助走はなしで、大きく手を引いてからのソレッ!
2人で協力して、上に投げたり下に投げたり、はたまた横から、ときには静かに念じながら、あらゆる角度とポーズでチャレンジ。しかし戦闘機が空へ舞い上がることなく⋯⋯。しまいには、〝風の呼吸〟や〝雷の呼吸〟まで飛び出したものの、彼らの背丈を超えることすら叶わずじまい。それでも墜落する度にギャハハハと笑い、次の手のアイデアを考える小学1年生。
「持ってみて、コレ結構重いよ。腕痛くなっちゃった」
「だから飛ばないんだって」
「投げるとき頭にぶつかるんだよな」
「じゃ次ロケットみたいにやってみる?」
飛ばすということに対して躊躇も遠慮もない2人。がむしゃらにチャレンジして、失敗しても笑って前を向く。思い通りにならなくても、くじけず、腐らず、その体験を受け入れる。仲間とともに。
幼児から少年へ。本気で遊べる〝いま〟を手放しで歓迎したい。

茂木廉士くん(6歳)
山形県総合運動公園(天童市山王1-1)
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