だれかの散文

2016.8.17

第4回:扉を開けるとそこは


こう見えてどちらかというと人見知りというか、人に慣れるまでに時間が必要なタイプというか、すごく様子を見るタイプと言いますか。当然仕事の時には「仕事モードスイッチ」を入れるので、初対面の方ともどんどん(時にづけづけと)お話させて頂きますが、そんな場でもないならば、そっと静かに一人で、夫と、ときに仲間と楽しい時間が過ごせたら幸せなタイプなんです。

 

先日、夫DJ仕事にくっついて長野県松本市に行ってきました。

 

これまで仕事でしか行ったことがなかったので今回改めてゆっくり散策してみると、見上げれば大きな山がすぐ近くにあり、空は美しいほどにブルー。街の中にはのんびりと川が流れ、人の生活に当たり前のように寄り添うお蕎麦屋さんと温泉。「この雰囲気、どこか庄内っぽい・・・」庄内地方の景色、それも夏の庄内っぽい匂いがして、長野に居て山形を想う不思議な感覚が味わえました。

 

そんな松本で温泉に入った後、夕飯を食べようと知り合いから教えてもらったおでん屋さん行ってみることにしました。カウンター10席程のさっぱりとした店内は若い店主が一人で切り盛りしていて、扉を開けると気持ち良い笑顔で席を用意してくださいました。「さあて」メニューを見ると定番おでんメニューの他に「ここ、鹿児島?」と戸惑うほどの鹿児島焼酎のラインナップ。偶然にも夫は鹿児島出身、絶対にいい店だと確信したところでオーダースタート。

 

風呂上がりの焼酎炭酸割り、そしておでん。なんと完璧なシチュエーション!旅先でこうもくつろげるお店があるって嬉しいなあ・・とまったりしていると、隣の席で若者6人ぐらいが賑やかにワイワイと盛り上がっていて、そこにいる男の子が呼び出した(であろう)彼の妹に対し「兄ちゃんって普段どうなのよ」とか「兄ちゃんみたいになっちゃだめだよ、しっかり勉強しなきゃ」とか先輩からのアドバイス的なものを彼女にしてあげていました。

 

確かに遅れてきた妹はモデルさんみたいに可愛く、みんながお兄ちゃんのような気持ちで心配するのも仕方ないよなぁと思いながらも私は次にどのおでんを頼もうかと迷っていると、次に聞こえたのは「でも俺たち今日初めて会ったからさ。そんなにっていうか兄ちゃんのこと全然詳しくないんだけどねー!わははー!」って!!!

 

『嘘でしょ!!』

 

人見知りからの脱却。あまりの驚きに人見知りが・・とかまだ距離感必要・・とか生温い照れみたいなものが一気にどうでもよくなり、まずは「お願い、一回そこ突っ込ませて!」の気持ちが口から飛び出てしまいました。聞くともなく聞こえてきた会話のおかげで一瞬にして私、脱却出来ちゃいました。

 

ありがとう、そこにいたみんな。

 

この出来事をきっかけに、店内みんなでお腹が痛くなる程笑うまで盛り上がり、インスタグラムをフォローしあう仲にもなり、みんなに心配されていたお兄ちゃんのその後の仕事状況まで報告されるようにまでなりました。

 

人見知りなんて無駄なアイテム、そう知った2016の夏。

来月、久し振りに山形へ!

見掛けたら声かけてくださいねー!!


加藤 紀子

プロフィール:

加藤紀子

92年に歌手デビュー。歌番組やバラエティー番組、ラジオなど幅広いメディアで大活躍するさなか、2000年より芸能界を休業し、パリへ語学留学。2002年に帰国し、芸能活動を再開。現在は、東海テレビ「スイッチ!」、NHK-FM「トーキング ウィズ 松尾堂」にレギュラー出演など幅広く活躍中。

加藤紀子ブログ「加藤によだれ」
http://ameblo.jp/katonoriko/

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