だれかの散文

2017.1.10

第9回:それはまるで 導かれたかのよう


『せっかくだし行ってみなよ』

 

今年は年が明けてすぐ、夫と私の実家に帰ることにしました。お正月に帰るのは何年ぶりだろう・・と思いながら、母のおせち、私が東京で作ったおせちなんかをつまみつつ、姪っ子たちにお年玉を渡したり、絶好調にお正月。

 

冬の三重もなかなかに寒く、あまり外には出掛けたくないものの、とにかく食べてばかりもなんだしねえ・・と「椿神社」へ母と夫と初詣に行くことにしました。この神社は猿田彦大神が祀られていて、お導きの神様、縁結びの神様、芸能の神様がいるとも言われ、鈴鹿の中でも人気のパワースポット。夕方の五時、一歩境内に入ると、参拝者が踏む砂利の音が心を穏やかにさせてくれ、静かにそうっと手を合わせ参拝することができました。

 

「なにお願いした?」二人にそう質問したりしつつ、「そうそう、この参道の脇にある喫茶店に、私の最初のエレクトーンの先生が働いてるんだー」と夫に話したら、彼の口から冒頭の一言が。

 

数年前にも母と二人でお参りした時、行ってみようかとその喫茶店に入り先生を見つけたものの、なんとなく恥ずかしくて声をかけられず、ただただ黙ってカフェオレを飲んで帰った過去があったので、この日も「お店も片づけに入ってそうだし、挨拶とかいいよー」と一旦通り過ぎたものの、でもどこかそれでいいのか?と引っ掛かる気持ちもあったりして「じゃ、ちょっとドアが開くかどうか見てみる」と閉まっててくれることを願いつつ、喫茶店に一歩近づいてみると自動ドアはブイーンと右から左にスライド。まさかのスライドにたじろぎながらも、開いてしまったドアに後押しされるかのよう、次のドアに手を伸ばすとこれまた嘘のようにドアはスーっと開き、あっという間に店内へ到着。

 

『いらっしゃいませ!』片づけをしていたスタッフみんなに見られ、引くに引けなくなった今、言うべきセリフはただ一つ。

「カフェオレください」ではなく・・・「私、加藤と申しますが名村先生でいらっしゃいますか?」

 

そこから先は、先生の記憶の中にある私の話を色々と聞かせてくれ、お店の中にいた先生の家族の皆さんからも「のりちゃんを教えたって話は何度も聞いてましたよー」と話していただき、コーヒーをご馳走になりながら写真を撮りあったりもして嬉しい再会時間を過ごさせてもらうことができました。

「今年はいい年になりそうだ!」先生のご主人からはこんな嬉しい一言も頂きました。

 

これまでなら下手に恥ずかしがって選ばなかったことを、お導きの神様にお参りしたおかげか、夫が囁いてくれたおかげか、一歩の勇気が持てた新年の始まり。

 

40年ぶりの再会、先生の記憶にある私は

『髪の毛がサラサラの女の子』だそうで・・・

エレクトーン、関係なかった・・・。

 

本年もよろしくお願いします!

(今月はロケで、来月は味噌作りで山形に行きます!嬉しいっ!)


加藤 紀子

プロフィール:

加藤紀子

92年に歌手デビュー。歌番組やバラエティー番組、ラジオなど幅広いメディアで大活躍するさなか、2000年より芸能界を休業し、パリへ語学留学。2002年に帰国し、芸能活動を再開。現在は、東海テレビ「スイッチ!」、NHK-FM「トーキング ウィズ 松尾堂」にレギュラー出演など幅広く活躍中。

加藤紀子ブログ「加藤によだれ」
http://ameblo.jp/katonoriko/

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