だれかの散文

2017.2.7

第10回:フラワー長井線でほっこり発見


先日、2月13日夜7時からBSジャパンで放送される「出発!ローカル線 聞きこみ発見旅」という番組のロケでフラワー長井線に乗って一泊二日の旅をしてきました。この番組はタイトル通り、電車に乗ったり降りた先で出会った方に、土地オススメの人、物、店などを教えて頂いて旅をするというもの。さらに撮影して良いかなどの許可取りも全て出演者がするという、編集以外を頑張らなきゃいけないロケ。人と出会えず、許可も取れず、宿泊先も見つからずだったら完全に地獄だなあ・・という気持ちで出かけたものの・・・。

 

ロケ当日は山形県内に大雪警報が出されるほどの大雪。

人もまばらで時々見かける方のほとんどは雪かき作業の人ばかり。

「こんな時期になんでこんなところにいらっしゃったのー?ここには何にも面白いものなんてないですよー」と番組趣旨の聞き込みをしようとも、皆さん口を揃えてそうおっしゃる。

「あら、そうですか、残念!」と言えたなら良いのだけど、そうともいかず、必死の形相は怖かっただろうなあ。

 

聞き込みを終えたか、ノー情報で手ぶらだったか、電車が来る時間になったので駅のホームに戻り、寒さをしのごうと待合室に入ると数枚の張り紙の中に一枚のメッセージ。時刻表とも違うし、忘れ物のお知らせかなあ?と近寄ってみると・・

「老人会の人がそうじをしているのです。12/3日 タバコのすいがらすごかった。きれいに利用してもらいたいです。よろしくお願いします。寒くなります 風邪ひかないようにネ」(原文のまま)

 

見たことないほどの優しさ!

注意するだけではなく、相手を思いやる気持ち!

「私はいいのよ、別にね。ただ、掃除をしている人が大変だから、そこだけ分かってあげてね。そして寒いから風邪には気をつけてネ」的な微笑み(イメージ)。

私がもしその現場を見てメッセージを残すことになったのなら

「こら、誰だ!二度とここで吸うな!そんな悪い奴は風邪でも引いてしまえ!」的な事しか書けない気しかしないけど、なんですか、最後の一文の優しさは。

 

このメッセージは撮影中ではないところで見つけ、一人心にビガーっと届いてしまった訳ですが、雪をも溶かしてしまいそうな温かな思いやり文を見つけた後だと、この先のロケは絶対に順調に、かつ面白く進むだろうなあ・・だってこんな人がいる山形だもんと確信いたしました(吸殻をそのままにしてしまう人もいたとしても)。

 

そして予感通りたくさんの素敵な出会いがあり、一緒に巡った出演者の方も「山形っていいところだね、好きになりましたよー!」とおっしゃって下さる旅となりました。

 

そなの、本当に山形っていいところ。

「寒いから中さ入ってお茶でも飲んでけー」

 

いつだって私も旅人にこう言える人になりたいー。

「風邪でも引いてしまえ!」なんて・・言わないようにしますネ。

 

「出発!ローカル線 聞きこみ発見旅」
http://www.bs-j.co.jp/localsen2/


加藤 紀子

プロフィール:

加藤紀子

92年に歌手デビュー。歌番組やバラエティー番組、ラジオなど幅広いメディアで大活躍するさなか、2000年より芸能界を休業し、パリへ語学留学。2002年に帰国し、芸能活動を再開。現在は、東海テレビ「スイッチ!」、NHK-FM「トーキング ウィズ 松尾堂」にレギュラー出演など幅広く活躍中。

加藤紀子ブログ「加藤によだれ」
http://ameblo.jp/katonoriko/

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