特集の傍流

2021.7.1

やまがた水伝説 その参 丸池様

2021年7月号(201号)水に導かれて。
丸池神社 御祭神:宗像三女神
山形飽海郡遊佐町

ここに棲む魚たちは、かの武将に敬意を表し、みな片目になった-。

 

鳥海山の湧水を湛えた、翠玉色に輝く“聖なる池”

 鳥海山の麓、遊佐町の箕輪地区にある『丸池様』。1年を通して水温が低く一定なため、水底に沈んだ倒木が朽ち果てずに残っている。エメラルドグリーンに澄んだ池が織りなす色彩の豊かさは、次々に訪れた人々が感嘆の声を洩らすほどだ。また、池全体が信仰対象となっており、魚の捕獲や水際に立ち入ることはできない。

 

秋になると多くの鮭が遡上する「牛渡川」。この橋の先に丸池様は存在する。

 

清らかな湧水で満たされる「牛渡川」には、梅花藻が自生している。梅花藻は5月中旬から9月頃にかけて梅に似た小さく白い花を咲かせる。

 

池の袂には『鳥海山大物忌神社』の末社である『丸池神社』が祀られ、2008年に国指定史跡に指定されている。御祭神は交通安全や航海安全の神として知られる宗像三女神である。

 

森のなかを進み「牛渡川」の上流付近にたどりついた。辺りは静まりかえり、霞みがかった川辺からは厳かな空気を感じる。

 

そして、青く光るこの池には妖しく謎めいた伝説が伝えられている。それは「池に棲む魚がみな片目である」というのだ。

 

神秘の池に語られる、不思議な魚たちの姿

 平安時代後期、鎌倉権五郎景政という豪傑がいた。勢力争いの戦いにおいて、敵の大将が射た矢が景政の片目に刺さったが、景政は矢を抜かず、三日三晩、大将を追い求めたのちに討ち取った。景政の目に突き刺さった矢を池に流し、池の水で目を洗ったところ、たちまち池が真っ赤に染まり、以来この池に棲む魚は景政に敬意を表し、みな片目になったという。この伝説が『丸池様』のつくり出す神秘的な佇まいをより一層際立たせているようだった。

 

 

丸池様(遊佐町)

直径約20m。水深はおよそ5m。湧水のみを水源とする池としては県内唯一。縄文時代から存在していたとされ、側には『小山崎遺跡』も。JR吹浦駅から車で5分。
〒999-8525 山形県飽海郡遊佐町直世荒川57

2021年7月号(201号)
水に導かれて。

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