特集の傍流

2022.2.3

紅花商人が栄えた江戸時代から始まる「初飴」の歴史。

2022年2月号(208号)山形の縁起もの
大山製菓取締役総務部長:鈴木健太郎さん
山形県山形市

口に含んだ瞬間に柔らかな甘味がふんわりと広がる初市の風物詩、初飴。無病息災、商売繁盛などの祈りを込めた紅白の切り飴だ。正月に縁起物として登場する飴は全国各地にあるが、初飴という名称や形状は山形にしかないとされている。その製造を一手に引き受けるのが山形市にある県内唯一の飴屋『大山製菓』。1961(昭和36)年創業、今年で61年目を迎える。「1年のなかで唯一お客様とふれあえるのが初市。お客様のおいしいのひと言が私の原動力です」と語るのは4代目の鈴木健太郎さん。

 

抹茶やきな粉、イチゴミルク味など、いまでは14種類もある初飴。今年の初市では、なんとハバネロ味も登場した。

 

 遡ること13年前、すでに2代目の右腕となっていた元社長であり実父の悦夫さんが伝統を絶やすまいと会社を引き継いだ。息子の健太郎さんは同時期に飴づくりを学び始めたという。健太郎さんは経営者となったいまでも職人のひとりとして製造に携わり、豊富な品数を誇る自社製の飴を原料にして作るわたあめなど、新商品開発にも積極的だ。

 

原料である麦芽水飴とグラニュー糖を煮詰めていき、円盤に流して即座に冷却。

 

円盤の上で冷却しながら手で捏ねる。

 

取材時はごま味の初飴を製造中。熟練の手技で素早く練り上げられていく。

 

飴を高速回転させて空気を含ませる「引き飴」という工程。4〜50度の状態で攪拌させることでふわふわの食感になるとのこと。

 

引き飴を包む外側はごまをさらに含ませた濃厚なもの。

 

昔ながらの製法と機械で作られる初飴。固まらないうちに作業を進めなければならないため秒単位のスピードが求められる。あっという間に成形の工程へ。

 

一回の工程で作られる飴はおよそ300個。機械はその日の気温や湿度で調整しなければならないほど繊細だ。

 

棒状に出てくる初飴を適度な長さにカット。この状態でさらに冷却される。

 

最後にふるいを使って飴を切り離していく。

 

『大山製菓』では初飴のほかにも、千歳飴や土産用の飴も製造。「C’s pocket」と題した自社ブランドの商品開発や情報発信にも積極的だ。「小さい会社だからこそフットワーク軽く動けます。大変な仕事のなかにも楽しみを作っていきたいんです」と鈴木さん。

 

次世代へとつなぐため、守り続けた伝統と歴史

 全国でも山形にしかないといわれる初飴のルーツは江戸時代にまで遡る。元来半紙に赤や白の飴を15、6粒ほど並べたもので、特産品であった紅花の豊作を願って市神様に捧げる縁起物だったそうだ。「この風習がなくならないよう伝統の味と技術を守り続けて、いつか次の世代にバトンを渡すのが目標です」という鈴木さんの言葉には、初飴を作り続けてきた矜恃が滲んでいた。

 

収穫した紅花の花弁を丸めて干して乾燥させた紅餅。かつてはそれを模して飴を半紙に並べ、「盛飴」として市神様に御供えしていた。

 

大山製菓)山形県山形市北山形2-4-22

TEL /023-646-5545

初飴の販売は12〜1月にかけて県内スーパーなどで販売。また毎年山形市初市でも販売する。

そのほかの商品は主に『ぐっと山形』にて購入可能。

2022年2月号(208号)
山形の縁起もの

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