特集の傍流

2022.5.10

和菓子の老舗が手がける、100年選手の山形銘菓「富貴豆」。

2022年6月号(212号)ふうき豆に迫る。
代表取締役社長:長谷川浩一郎さん
山形県山形市

 山形市印役町の山寺街道沿いに店舗を構える『老舗 長榮堂』は、1886年(明治19)創業の老舗菓子店。草創期より饅頭・羊羹・もなか等を、明治後期からは「富貴豆」を看板商品として製造・販売している。

 

一子相伝・匠の美学が活きる「富貴豆」

 「ふうき豆は明治後期に、東京の煮豆が山形へ伝播し、和菓子に転じたと言われています。しかし東京のものは原料がそら豆で、調味料に醤油が使われているなど違いがあります」と教えてくれたのは、長榮堂5代目の長谷川社長。長榮堂では毎朝4時から富貴豆づくりが始まるという。

 

原料の干した青えんどう豆を戻していく作業から、富貴豆づくりは始まる。

 

まず熱湯に青えんどう豆と重曹を入れて煮立たせる。煮立った豆をザルにあけて皮をむき、水で洗う。ここで重曹をすべて取り除く。それを一晩水にさらす。

 

下準備が終わった青えんどう豆。ここから吹きこぼしの作業へ。

 

さらしておいた豆を水で洗い、炊いていく。途中ふきこぼしながら炊いていく様子から「ふきまめ」と呼ばれ、さらに縁起の良い字が充てられて「富貴豆」となったという。

 

炊いた豆に味付けをしていく。水加減や火加減は豆の状態や気候などに合わせて微調整され、途中で砂糖と塩が加えられる。シンプルな工程だからこそ職人の経験と五感が仕上がりを左右する。

 

味付けが終わった豆を広げ、一気に粗熱をとる。柔らかくほっくり仕上がった豆を一粒一粒丁寧ほぐしていく。

 

「この仕上げ作業を施すことで、粒感が際立ち、食感が良くなります」と話すのは長榮堂4代目で現役富貴豆職人の長谷川浩二会長。

 

一粒一粒が芯までふっくらとした食感の「生富貴豆」。箱詰めにて提供されるほか、日持ちする真空パック品もあり。また店頭では富貴豆の餡を使ったバターどらなど、多彩な富貴豆の菓子が販売されている。

 

 「先祖伝来の製法は一子相伝で守りつつ、時代とともに進化させる。山形の伝統和菓子である富貴豆を受け継ぐ責任は大きいと感じています」と語る長谷川社長。バトンをつなぐ5代目はすでにその先を見ている。

 

『老舗長榮堂』5代目、代表取締役社長の長谷川浩一郎さん。現役の富貴豆職人である4代目とともに。

 

 

老舗 長榮堂)山形県山形市印役町1-2-32
営業時間 / 9:00〜17:30(年中無休)
TEL / 023-622-5556
http://choeido.co.jp

2022年6月号(212号)
ふうき豆に迫る。

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