特集の傍流

2016.6.7

エネルギッシュに落下する水。 圧倒されるパワーの陰に潜む、極上のヒーリングとは。

2016年7月号(141号)いざ、癒しの地へ。
酒田市八幡総合支所 建設産業課 産業係 山崎藍さん
酒田市観音寺、酒田市前田

数ある山形県の日本一だが、落差が5メートル以上の滝の数も我が県がナンバーワン。全国に2488箇所あるなか、県内にその1割に迫る230箇所が点在している。静かに流れ落ちるもの、豪快に飛沫をあげるものとさまざまだが、眺めるばかりが楽しみではない。「浴びる」ことにもまた、滝の魅力が潜んでいる。それが「飛沫浴」だ。

 

滝の癒し効果には、理由があります。

日光浴、森林浴とはよくいうが、飛沫浴も、なにかを浴びることで心身に良い効果を期待するところは同じ。日光浴は太陽の光、森林浴は木々が発する芳香性物質によるものだが、さて飛沫浴は。

通説では「マイナスイオン」といわれているが、実はこの単語、実態や効能にあいまいな部分が否めない。それよりも、飛び散る飛沫の気化熱による清涼感や、豊かな自然に囲まれたロケーションによる日光浴や森林浴効果に注目したい。こちらは疑いようがない、滝がヒーリングスポットである証になるからだ。

滝を川の流れの一部と見れば当然のことなのだが、流れ落ちる水は、一時たりとも止まることはない。躍動感とは違うかもしれないが、変わりがないように見えて、つねに変化している滝の流れ。先の清涼感も手伝って、いつまでも傍らにいたい。そんな気持ちになることも、滝の魅力のひとつだろう。

 

県内一の高さを誇る直瀑は、山岳信仰の修験の地。

およそ1200年前、弘法大師空海が神のお告げにより発見し命名したとされる落差63メートル、幅5メートルの滝で、段差の無い直瀑の滝としては、山形県内随一の高さを誇るのが「玉簾の滝」だ。かつては山岳信仰の修験場であり、滝の前には弘法大師の開基と言い伝えられる「御嶽神社」がある。

 

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滝にたどり着くまでの道の延長上に御嶽神社の石鳥居がある。

 

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御嶽神社は、大同3年(808年)に空海上人が開いたと言い伝えられている。そのころは滝の流れ落ちる断崖の中腹に岩窟があり、そこが神座とされていた。神座の前を落ちていく水が、玉のように透けて簾のようであったことが、「玉簾の滝」の名の由来とされている。

案内してくれたのは酒田市八幡総合支所の山崎藍さん。「水量が多いときは御嶽神社の社まで水しぶきが舞うほど迫力がありますよ」というように、苔がむしたスギの大木が群生する敷地の先には、荘厳な絶景が広がり、私たちを出迎えてくれた。滝つぼまで整備された道を歩いて行けるので、その圧倒的な自然の力を間近に浴びることも可能だ。
さらに山崎さんは、「ゴールデンウィークとお盆の頃にはライトアップも実施され、日中とは違う幽玄な世界を見ることができます。また、寒さの厳しい冬は滝が凍るので美しい氷瀑を見ることができ、季節ごとに違った表情が楽しめます」と、名瀑の魅力を語ってくれた。

 

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滝つぼの間近まで歩いて行けることから「珍しい」「凄い」という声も多く、滝の奥にある岩の形が、不動明王があぐらをかいて座っているように見えるという話もあり、パワースポットとして県外からの問い合わせも多いという人気の景勝地。自然が生んだ造形美は、いつも私たちを優しく迎えてくれるだろう。

 

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滝の水口は北西を向いているが、向きが北西であるものは数少なく、珍しいという。南東に背を向ける形となるため、朝9時頃になると滝が日の光を背負い、滝も飛沫も光輝いて、より壮麗であるとのこと。

 

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滝の周囲は自然豊かであり、滝までのウォーキングの際は棚田や様々な山野草を見ることができる。

 

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神社橋を渡ったあたりの風景。杉や栃の樹が鬱蒼と覆い茂っている。

 

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川にはイワナなどの渓流魚が産卵に訪れるという。

 

滝にたどり着くまでの川沿いの景色や植物なども目に楽しく、四季折々の表情を見せてくれる。「産直ららら」駐車場から遊歩道を10分ほど歩けば到着できるので、気軽に散策してみてはどうだろう。

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