特集の傍流
「こめやかた」ファミリー サム・ウィルソンさん
こめやかた(エネルギーのサカイ)(村山市)
「山形県民は、自然と共に暮らす力を持っている」。そう話す彼は、ここでしか体験できない、田舎独特の味わいを楽しんでほしいと語ってくれた。
食と農と宿を通じて、人々をつなげていく。
村山市にある、百年以上続く老舗米屋「こめやかた エネルギーのサカイ」にて、家族皆で米作りをはじめとした農業や、ゲストハウス(安価で素泊まりできる宿泊施設)を営むサム・ウィルソンさん。「山形はすごくのどかで自然豊かで、理想的な日本の風景」との言葉には、山形への想いがにじみ出ている。

イギリス出身。山形に来て13年目。ALT(外国語指導助手)として日本の学校で働く人と出会い、自分もやってみようと、大学卒業後、来日とともに勤務先の山形へ。
北村山高校、東根工業高校でALTとして働いたり、知り合った奥様の実家・「こめやかた」の手伝いをしたりするうちに、この地や農業の魅力に惹かれていったというサムさん。
「農業は大変だけど、家族みんなで頑張れるのがいいですね。力を合わせて一生懸命やって、はっきりした季節の流れを感じながら生活できるし、その季節ごとのものを楽しめる。それは、人間らしい生活というか」。

古き良き日本家屋といった佇まいの「こめやかた」。
農業体験もできる「こめやかた」には、国内外から農や田舎の文化に興味を持った人がグリーン・ツーリズムに訪れている。その人たちが山形の魅力をSNSで発信し、またいろいろな人がつながって山形へやって来るのだ。

地元村山産のヒメノモチのみを使用した手つきの餅も毎年期間限定で販売しており、遠方からも買いに訪れる人がいるなど、好評を得ている。

奥様の奈緒さんと餅を切り分けるサムさん。
「山形の人はシャイ。外にあまり出て行かないこともあって、自分の住んでいるところの魅力に気づいてない。でも、いろんな人がここまで来て、楽しんでくれているなら、地元の人も自分の町をちょっと自慢できて、町をもっと好きになってくれるんじゃないかと。外から見るといいところがいっぱいあるのに気づいてないから、そういう外の目線によって捉え方を見直して、自信を持って〝おらだはいいところに住んでるな〟って思ってほしい」。
その言葉からは、この地や人々を愛する気持ちが、ひしひしと伝わってきた。
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