特集の傍流
寺澤勝義さん、浩二さん、克子さん
ミキヤ洋菓子店(山形市東原町)
その街の、ひと昔をたぐる散歩「界隈証人」。今回は、山形駅に続く東西の大通りから、裏通りへ入った一角にある洋菓子店「ミキヤ洋菓子店」にお話をうかがった。
裏通りの店ならではの、お客さんとの距離感。
小路を薫らすパティスリー。

小路に面した明るい店舗。甘く香ばしい匂いの先には、老舗の洋菓子店が醸す、不変のトキメキが。
ガッタ(以下G):創業して何年になるんですか?
ミキヤ(以下M):この店舗になってからは45年ほどですが、初代が東京で菓子屋を営んでいた頃からだと80年くらい。戦争で焼け出され、屋号を店名に残して山形に店を構えたんです。最初は喫茶店などへ卸をして。当時は今ほど種類がなかったので、和菓子と洋菓子を半々くらいでやっていたようです。

賞味期限が3時間以内というシュークリーム。パリッ、サクッとした食感とカスタードクリームのハーモニーが絶妙。
G:昔はお菓子というと贅沢品のイメージがありますが。
M:そうですね。でも昔から山形は、お茶を飲みながらお茶菓子を出す習慣があるから、全国でも菓子の消費量が多いんですよね。
G:ひと昔のこの界隈はどんな様子だったんでしょうか?
M:昔からあまり変わらないですよ(笑)。そりゃあ多少は変わりましたけど、元々裏通りですから、みんな家から徒歩や自転車で、あとは車を横付けして店に来ていましたよ。(店が)大通りに面していたら、そんなこと出来ませんからね、かえって裏通りで良かったと思います。だから今も昔からのお客さんが、気軽に立ち寄られますよ。

スイートポテトのタネを作る2代目の寺澤勝義さん。
懐かしのスイーツと、時代を往くパンの数々。
G:人気の品は?
M:今はパンですね。土日限定で焼いていますが、クロワッサンはかなり定着していて、ほとんど毎週買いに来て下さるお客さんも。スイーツだとマカロンも定着していて、あとは季節によってですね。以前はムース系も作りましたが、あまり売れなかったんです。やはりオーソドックスなものが求めらるんだなと。この界隈の方は、お菓子は昔ながらのものを好みます。食べ慣れているし、そちらの方が飽きないからではないでしょうか。

バゲットに切り込みを入れる様子。

パンの焼き上がりを今か今かと待つ時間もまた楽しい。
G:確かに売れ行きや売れ筋からも街や人の変化を感じます。
M:地域性もありますが、子どもが減り、お年寄りと孫が離れて暮らしているから、孫にお菓子を買ってあげるってことも無くなってきています。そういう「暮らしの変化」は感じますね。

街や暮らしのあり方が変わる中、3人体制で日々、世代を超えて愛されるお菓子作りに励んでいる。
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