特集の傍流

2017.10.11

作るから食すまでを、円で繋ぐための新挑戦。

2017年11月号(157号)やまがたワイン考《前編》
ヤマガッタ 代表取締役 小松正樹さん
山形県上山市、山形市

 妻の千鶴さんとともにソムリエの資格を取得し、夫婦で国内のワイナリーを巡ってきた小松正樹さん。そこで改めて山形ワインの品質に感銘するも、その魅力を伝え、提供する場が地元にこそ必要だと痛感したという。

 

山形らしさを伝えるため、見据えた〝循環〟。

「山形だからこそできることは何か」と思案した小松さんは、2015年、生まれ育った山形市七日町に「ヤマガッタ株式会社」を設立。県産ワインと旬材の合せを推した飲食店「さんろくまる」、「マンマケーヤ」、ワインストア「ヤマガッタ」の経営も含め、ぶどう栽培・醸造・物販・飲食が、ひとつの円で繋がった〝循環〟を作ろうと目下取り組んでいる。そのためにも、社内全員で畑を手伝い、土地や背景を肌で理解し商品を提供できる人材育成も目指している。

 

 

 上山市久保手・牧野・生居地区に畑を持つ小松さんは、ぶどうの実り豊かな上山市の「かみのやまワインの郷プロジェクト」にて、自家醸造を目指す農園者第1号のお一人でもある。スタッフへの語り口にも熱がこもる。

 

 
 

〝循環〟の一点である経営店、チーズ&日本ワインのストア「YAMAGATTA(ヤマガッタ)」には、山形県産ワインはもちろん、厳選された日本ワインが揃うウォークインセラーが。

 

 

 

ワインを運び出す、小松さんの奥様、千鶴さん。

 
 

 また、「YAMAGATTA」では、小松さんのぶどう畑からほど近い、上山市の奈良崎牧場のミルクを使ったフレッシュモッツァレラチーズを、CPA認定チーズプロフェッショナルである千鶴さんが店内工房で製造している。

 

 

成形されたフレッシュモッツァレラチーズ。山形における自家製チーズ第1号であり、併設する「マンマケーヤ」で出来立てを味わうことができる。

 

 
 

 さらに、県産ワイン推しの飲食店「さんろくまる」では、旬材の料理に合わせたワインのペアリングを楽しめる。
 小松さんの言う〝循環〟はこのように、その土地・育てる人・作り手・提供する人といった存在が一つの物語を形作り、それを味わってもらうまでがトータルなのだ。

 

 
 

風土を身近に感じられるワイン造りを目指して。

 

初収穫ぶどうを使った委託醸造ワインができたばかり。将来的に「ワインを開栓するその特別な時に、1本飲みほされるワインを造りたい」と語る。


 

 古参の園主から上山の農園を受け継ぎ、地元の栽培農家の教えも仰ぎながら農業に奮闘し、ワインと料理の巡り合いを楽しむ特別な時間を提供する日々。小松さんは将来的に、地ワインを地元で消費してもらえるようなドメーヌ(自社畑)ワイナリー開設を見据えており、目指すのは「手元に届くまでの物語や土地との繋がりを感じてもらえるワイン」だという。その繋がりの源であるぶどうを育てる眼差しは、熱意に溢れていた。

 

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