特集の傍流

2018.7.6

コンクリートポンプ車が担う、様々な未来。

2018年8月号(166号)大人の社会科見学。
株式会社ヤマコン 代表取締役社長 佐藤隆彦さん、オペレーター 荒木天祐さん
山形県山形市

「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、メインとなる新国立競技場やボート競技の会場となる海の森水上競技場のインフラ工事を担当しています」。佐藤隆彦社長の話に、「え?その施設の建設にも貴社で関わっていらっしゃるんですか?」と、聞き返してしまった。ニュースや新聞で何度も耳にし、目にした会場の土台作りを担っているのが、山形の企業だったとは。

 

コンクリート構造物をつくる仕事とは。

 ㈱ヤマコンのメインとなる業務はコンクリート圧送業。コンクリートポンプ車を操縦し、ブーム(輸送管)にコンクリートを流し込み、土台を作っていく。「構造の骨格をつくっているので、完成しても人の目に触れることのない地味な裏方の仕事ですが、我々の仕事がしっかりしていないと崩れてしまいます」。地元を本社とする企業が関わっていると知ると、東京オリンピック・パラリンピックが身近なものに感じられるのは私だけだろうか。

 

赤い色がひと際目を引く、ヤマコンのコンクリートポンプ車。

 

2016年末に着工した、新国立競技場の工事の様子。現在は東京オリンピック関連以外の大型プロジェクトも始まっている。

 

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの関連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するため、国では平成27年4月に「外国人建設就労者受入事業」を開始したが、㈱ヤマコンでは約10年前からベトナムをはじめとする外国人実習生を受け入れ、即戦力となる人材の育成に取り組んできた。その中の一人、ホアン・ジン・ホ アンさんが今年3月、「優秀外国人建設就労者」として、国土交通省から表彰された。これまで延べ約50人あまりを受け入れ、実習を終えて母国へ帰ってから活躍している人は30人以上にのぼる。

 

 

 2年前に公開の映画「シン・ゴジラ」に登場した、赤いコンクリートポンプ車もこの会社所有のもの。映画のモチーフになったのが福島の原発だったことから、実際に現場で放水作業に使用されているものと同型の車を探していた東宝から「協力してほしい」とオファーを受けた。
 撮影は、千葉県で行われた。㈱ヤマコンからはコンクリートポンプ車1台とオペレーター1人が参加。「撮影の様子はとにかく地味で、オペレーターが操作をしている様子をひたすらカメラが追っていたとか。ところが完成した映像を観たら、大勢の人や警察車両や自衛隊の車両が登場していて驚きましたね」と佐藤社長。ノベルティとして、この時のコンクリートポンプ車のミニチュアをドイツのホビーメーカーに注文して100台作ったが、重機マニアや「シンゴジラ」ファンによって、あっという間に完売してしまう。現在、国産メーカーに依頼し、あらたな商品化を目指しているところだ。

 

「シン・ゴジラ」によって、関連冊子にも掲載されるほど、コンクリートポンプ車の注目度は上がっている。

 

 そんなコンクリートポンプ車が動いている現場にお邪魔し、実際の作業を見学させていただいた。
 今回は、コンクリートポンプ車のオペレーターを担当している荒木天祐(たかよし)さん(コンクリート圧送施工技能士2級取得者)のとある1日に密着。

 

8:00)工事現場に到着後、1日の作業の確認や注意事項など細かい打ち合わせを現場監督と念密に行う(写真中央が荒木さん)。

 

8:15)安全第一がモットー。始業前に車両点検を行い。建設機械に不具合がないかを十分に確認してから作業に取りかかっている。

 

8:30)テレコンというリモートコントローラーを使い、大きな重機を一人で操縦。ブーム(輸送管)を展開する。32メートル離れた場所にもコンクリートを送り込める。

 

9:00)最新型のコンクリートポンプ車を操作しながら、型枠などに圧力をかけてコンクリートを流し込む。

 

15:30)高圧でコンクリートを送り込むためブーム配管の肉厚チェックは帰社後、毎回くまなく行う(破裂防止のため)。

 

16:00)送り出し教育の「打ち合わせ」の様子。毎日異なる現場での作業のため、次の日の工事の状況について工務課と打ち合わせを綿密に行い、新たな現場へ送り出してもらう。

 

ポンプ車に乗り込む荒木さん。「丁寧で安全な施工を心がけています。完成後を目にするとやりがいを感じますね」と語る。

 

「一般の方から少しでもこの業界に対して興味を持ってもらいたい」その思いから、佐藤社長は、コンクリート事業に重ねて様々なことにチャレンジしている。建設業の難しい部分は安全上の問題から現場ではセキュリティが厳重なため、ブラインドの中でどんな仕事をしているのか「仕事の内容が一般の人に見えない」ということ。5月5日に山形市街地で開催される「はたらく車大集合」に参加したり、モンテディオ山形の試合の時に展示するなど、子ども達にも関心を持ってもらえるような機会を創出している。
 そして、東日本大震災から7年。『国土を守る、命を守る』という大きな使命のもと、㈱ヤマコンではこれからも宮城県、福島県の復興に積極的に関わっていく。

 

 

株式会社ヤマコン
山形県山形市十文字天神東770
本社 TEL.023-666-6066
http://www.yamacon.jp

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