特集の傍流

2018.9.4

蕎麦屋に、居酒屋に、定食屋に、スーパーマーケットの惣菜コーナーに。
なぜか山形をナゾにしているこの一品に迫ります。

2018年10月号(168号)やまがたのげそ天
山形県内蕎麦店、山形大学 准教授 小酒井貴晴さん、山形県工業技術センター
エンドー 店主 遠藤英則さん
杉の下意匠室 アートディレクター 鈴木敏志さん、杉の下意匠室 イラストレーター 小関司さん ほか
山形県山形市

 一年を通して蕎麦を食べることができる、全国有数の蕎麦処・山形県。それぞれの店舗では今日も地域に愛されてきた味が楽しまれていることだろうが、そんな光景の中、特に村山地方の蕎麦店を中心として、他県民には奇異に映る〝あるメニュー〟が提供されている。

 

ありふれた姿ながらも、実は隠れたソウルフード。

 ふっくらと衣をまとい、踊るようにうねった姿。もちろん美味しく、値段もリーズナブルな蕎麦の定番サイドメニュー。その名は、げそ天。ご存知、イカの足を揚げた天ぷらである。
 確固たる統計はないが、げそ天は山形県で消費量が多いといわれており、県内の蕎麦店ではトッピングやサイドメニューとして提供されているほか、居酒屋ではおつまみや一品メニューとしても食べられるローカルフードだ。

 

山形市下条町の蕎麦処「一休庵」にて。正午が近づくと、看板メニューの冷たい肉そばとともに、単品メニューのげそ天を注文するサラリーマンの姿が増え始める。

 

一休庵でのげそ天づくりの様子を見せていただいた。

 

 

一休庵では、1日に5キログラムものげそ天を揚げるという。

 

揚げたての香りや、カラッと揚げられた食感が食欲を増進。

 

ポピュラーでない地域も、一度味わってみませんか。

 一般的に蕎麦店で「天ざる」や「天ぷらそば」を注文すると、海老や野菜の天ぷらが添えられたり、汁の中に入ったりして出てくるが、県内の蕎麦店で同じ注文をすると、なぜか、げそ天が出てきたという経験をした他県民、または村山地方以外の県民もいることだろう。しかし、庄内地方で、げそ天は全くと言っていいほど見かけない。「蕎麦にげそ天」という食べ方がポピュラーなのは、県内でも特に山形市を中心とした内陸部で、中でも歴史の深い蕎麦店ではなく、庶民的な食堂のような店舗でよく提供されるものとして浸透している。

 

げそ天が蕎麦の隣にあると、何となくホッとするというあなた、さては内陸部、村山地方の山形県民だろうか?

 

 蕎麦をすすりながら、香ばしく揚げられたげそ天を噛み締め、そばつゆに浸して溶け出た油をも味わう。日本酒やビールとの相性も抜群で、イカはげその方が美味しく感じるという、〝げそ支持者〟もいるほど。
 今回はそんなげそ天にとことん向き合い、知っているようで意外と知らない、めくるめくげそ天の世界を覗いてみよう。
 2018年10月号特集「やまがたのげそ天」。特集のレポートは順次、更新していきます。お楽しみに。

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