特集の傍流

2018.9.1

アートな食の旅で、心と舌に感動を。

2018年9月号(167号)山形の芸術祭
SLOW JAM オーナー 神保雅人さん
山形県山形市

 3回目となる“山形ビエンナーレ”がついに開幕した。ビエンナーレとの関わりがきっかけとなってカフェをオープンさせた神保オーナーの店「SLOW JAM」でも、期間中はアーティスト兼ブックカフェ「6次元」のオーナー、ナカムラクニオさんの作品を展示するなど、街なかのスピンオフ企画で盛り上がっている。

 

街を創造して愉しむ
山形ビエンナーレに出合って。

「前回参加者として芸術祭に関わった経験が、いつかカフェをオープンさせたいと描いていた構想世界から、一歩踏み出す勇気をもらいました。山形の滋味溢れる食と人、世界中の豊かな食文化と山形の人たち、そして心を揺さぶるアート。それらをカフェいう空間を通して、体得できたらいいなって思うんです。まずボク自身が店に集うお客様や情報を通じて多くの刺激と学びを得たい。映画館と隣接したこの場所で店を開いたという立地に縁も大切にしたいから、話題作とのコラボであったり、観た後や観る前の空気感をより盛り上げられる仕掛けもしていきたいです」と神保さん。

 

7月某日にSLOW JAMにて行われたイベントパーティーの様子。

 

店内では、大石田町の「次年子窯」とコラボして作ったオリジナルの陶器なども販売。料理を盛り付ける皿も、山形の作家が手がけたものが多いんだとか。

 

 SLOW JAMで供される食事は、山形の在来野菜やオーガニック、スーパーフードといったカラダが喜ぶ食材を使ったメニューも多い。ランチにはサバサンドやバインミーサンド、SLOW JAM玄米カレーといった多国籍な装いのメニューが並ぶ。夜は地酒やナチュラルワイン、クラフトビールなどのもてなしも。

 

豚肉と豆のインドカレー。大豆や減農薬玄米など、山形県産食材を積極的に取り入れている。

 


 

和食の経験豊かなシェフが、旬の食材を使って織り成すオリエンタルな料理の数々は、他に類を見ない。

 

都会へ出て、周って気づいた。
本当の豊かさ、山形の魅力とは。

「SLOW JAMを舞台に、一歩踏み込んで山形をおもしろがるというか、身近にある魅力、愉しさ、おいしさに気づいてもらえたらなと。自分自身、田舎にとどまることがすごく嫌で東京へ出ました。若い時はとにかく刺激というか何かを求めて国内外を旅したり、海外に住んだりもしました。だけど30歳を超えたタイミングで大病を患ったりいろいろあって、一旦休憩しようと。それで帰郷して、ふと見渡したら、なんだ、全部ここにあるじゃんって気づいたんです」

 

 

「朝採り野菜の新鮮さ、おいしさ、そして、山形ビエンナーレでアートを愉しむ人々、街をデザインする動き、仕掛け人、ボクが探していたものはすでに手中にあったことに気がついた。こんなにも自分の生まれた街、山形が刺激的だったことに感動しましたね。そこから自分もその輪のなかで表現したいって自然と思えたんです」と神保さん。さらに「食事や空間を提供するカフェではありますが、料理もそうですが、店の使い方もジャンルに固着せず、にいきたいと思っています。芝居や朗読会を開いたり、アート作品と料理とのコラボなども企画できたらと思っています」と続ける。

 

 

 アートの定義のひとつが“美の創造・表現”であるならば、神保さんはSLOW JAMという器をキャンバスに、目で、舌で、感動を生み出すアーティスト、と言えるだろう。

 

神保さんと、SLOW JAMのスタッフさん。

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