特集の傍流
A Design&Strategy 武田大輔さん
山形県山形市
2013年にオープンした、自然がテーマの美容室『fellow』は、山形大学小白川キャンパスにほど近い、裏通りの住宅街に佇む。光が差し込む店内には個性的な観葉植物、シャンプー台に向かえば色とりどりのサンゴ礁が迎えてくれる。

セットブースは森をイメージしている。

シャンプーブースは海をイメージし、間仕切を隔ててガラリと雰囲気を変えている。
自然の心地よさが溢れる、人の魅力を引き出す場所。
店舗のインテリア製作や内装をも含むトータルデザインを手がけたのは、東京都に「A Design&Strategy」を構える、山形市出身の武田大輔さん。ご両親の影響もあり、当初は家具作りに興味があった武田さんがその製作を始め、やがてはそれを配置する空間自体を手がけるようになったのは自然なことだったという。

武田大輔さん/特注家具製造から店舗内装の考案・施工も手がけるクラフトマン(職人・工芸家)
前身となる建物は調剤薬局。このエリアで一軒建ての美容室を作りたかったというオーナーの後藤光信さんと、互いの知人を介して知り合い、幾度も話し合いを重ねた。

サインや照明で装飾しつつもとの外観をうまく生かし、その分、建物の内装の雰囲気を変えることに注力した。
後藤さんが伝えた『fellow』のコンセプトは、動植物の安定した住み家を意味する「ビオトープ」。それを空間に落とし込むため、建材や内装には自然のものを使うことを心がけ、白い壁も自然由来の泥塗料で塗装したという。

オーナーの後藤さん。
「この店だけではなく、家具や空間にはなるべく〝本物〟を使うようにしています。例えば木材っぽく見えるものではなく本物の木を使う。ヴィンテージ風にしたものではなく、本物のヴィンテージものを使う。質感が全然違いますから」と武田さん。
自然を表現するのに、自然でない素材は使わない。当たり前のことだが、それが訪れた人に心地よさを感じてもらうことにもつながっている。
「それと、その空間の家具や什器なども、自分で作れるものであれば作りますね。一般的には、そういう業者さんや工務店さんを間に挟む場合が多いんですけど、イメージって誰かに伝えていく間に変わって伝わってしまうこともある。オーナーさんと練りあったイメージをそのまま素早く落とし込むためにも、そういう方法を取っています」とのこと。
建物の造りや構造もほぼ変えずに活かしている。光を取り入れる窓の数も以前のまま。奥にあった調剤室への入り口はドアを取り払い、そのままシャンプー台に続く出入り口となった。またその隣には、元は調剤室の様子が見えるようにと、壁に四角い穴が空いていたが、武田さんはここにインテリアを設置。鏡台のあるセットブースにいる客からの目隠しではあるが、立っているスタッフの目線からは、ちょうどシャンプーブースの様子が確認できるようにと工夫されたものだ。
「対象から光る魅力を見つけて、それを見える形にして引き出すことが大ちゃん(武田さん)は上手だし、僕ら美容師の仕事もそういうことですよね」と後藤さん。
互いに通じあうものがあったからこそ、訪れる人々が親しい仲間(fellow)となれる場所に生まれ変わったに違いない。
山形市内の中心街、目抜き通りに店舗を構える『御菓子司山田家』。和菓子店として昭和8年に創業した当時から…
「繁忙期は冬のお歳暮シーズン。年が明けると徐々に落ち着いてくるね」そう話すのはまめやの4代目を受け継ぐ…
山形市印役町の山寺街道沿いに店舗を構える『老舗 長榮堂』は、1886年(明治19)創業の老舗菓子店。草…
山形の郷土菓子「ふうき豆」。詳しくは本記事内で後に触れるが、語源は〝ふきまめ〟だという。ほくっと香ばしい…
人口、面積、月収など、山形県を取り巻くあらゆる数字を見える化し、そこに住む私たちの暮らしぶりや県民性を…
待ちわびた春が間近に迫る3月12日、山形市に新たなブルワリーがオープンした。県道21号を蔵王温泉に向か…