特集の傍流

2019.3.5

和菓子に欠かせない「あんこ」と原料の「あずき」。日本人に馴染み深いこの食材と、山形の食文化の関わりについて紐解く。

2019年4月号(174号)山形あんこひとくち話。
有限会社木村屋 代表取締役 吉野隆一さん ほか
山形県鶴岡市 ほか

 さくらんぼや西洋なしの収穫量、1世帯あたりの中華そばやコンニャクの支出額など、山形が日本一となる食べ物関連のランキングは少なくない。総務省統計局の家計調査によると、2017年1〜11月の1世帯当たりの合計支出額で、山形市が1位になった項目がある。和菓子の「ようかん」だ。
 これは都道府県庁所在市および政令指定都市を比較したデータで、第3位と第2位には、ともに1202円のさいたま市と京都市が並び、山形市は1262円で第1位となっている。12月を含めた2017年1年間のデータで見ると、山形市は12月の支出額が少なく合計が1295円となり、さいたま市の1496円、続いて福井市の1321円に抜かされてはしまうが、それでも第3位と貢献している。

 

様々に魅了させるあんこ、栄養価の高さで再注目

 そもそも、山形は和洋に限らず甘味が好きだというデータもある。2015〜2017年の3年間の調査の平均で、1世帯あたりの品目別年間支出額を県庁所在市ごとに比較すると、山形市は「ケーキ」が第2位、「他の洋生菓子(カステラ・ケーキ・ゼリー・プリン以外の洋生菓子をまとめた数字)」が第1位と高い人気を示している。
 また、ようかんに限らず「他の和生菓子(ようかん・まんじゅう以外の和生菓子をまとめた数字)」についても第3位。この中には、山形でも人気のゆべしも含まれるが、どらやきやモナカ、串団子などあんこを使った和菓子も多い。一口に「あんこ」と言っても菓子や料理のバリエーションは豊かで、組み合わせによって、さまざまな表情で楽しませてくれる。また、あんこは近年、ビタミンB1やB2などの栄養が含まれ、食物繊維も豊富で健康食品としても注目を集めている。

 

昔から密接な関係にあった、山形の食文化とあんこ

 山形の代表的な郷土料理の一つ、冬至かぼちゃ。かぼちゃにはビタミンAが、あずきにはビタミンB1が多く含まれるため、この組み合わせは生野菜の不足する冬季のビタミン補給として、栄養面からも見ても大変優れた冬の健康食だ。長期の保存により食感や味が損なわれたカボチャをあずきの旨味を加えることで、おいしくいただくこともできた。このように、あんこを使った先人の知恵は、現在でも数多く受け継がれている。京菓子を由来にもつ鶴岡の雛菓子や、冬の水ようかん文化など、山形の生活とあんこの関わりを紐解いていく。

 

 2019年4月号(3/5発行号)特集「山形あんこひとくち話」。特集のレポートは順次更新していきます。お楽しみに。

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