特集の傍流

2019.5.5

子どもの頃から食べ慣れた山形人のソウルフード。その食べ物のルーツはご存知ですか?

2019年6月号(176号)やまがたのどんどん焼き。
CoCo夢や 代表取締役 工藤真一さん
山形県山形市

 鉄板の上に薄く伸ばした小麦粉の生地に、魚肉ソーセージや海苔をのせて、焼けたら箸でクルクルと。ソースや醤油ダレをたっぷりつけて、出来立て熱々を大きな口を開けて頬張る子どもたち…。山形のお祭りでは欠かせない光景だが、お好み焼きのようなものが箸に巻かれたたたずまいに、初見は驚く県外客も少なくないのだとか。
 どんどん焼きという名前の由来は、屋台で売り歩くときに、太鼓を「どんどん」と鳴らして客寄せしたからである。「作ったそばから『どんどん』と売れる人気商品だったから」、「焼くときに上から木ベラで『どんどん』と叩いたから」という声もあるが、時代考証を行うと、それらは時代が下ってからの後付けであることがはっきりと分かる。

 

形状や味の違いはあれど、全国各地で親しまれています。

 山形人が愛してやまないどんどん焼きだが、実は同名の料理は全国各地に点在している。岩手では「薄焼き」とも呼ばれ、円盤状に焼き、味付けは醤油、宮城では丸く伸ばした生地に干しえびや天かすをのせ、焼けたら醤油を塗って折りたたんで半月状で提供するなど、地域によって形状や味もさまざまだ。
 山形と同様に、生地を箸に巻いたものは、山形から影響を受けたと考えられている宮城の「くるくるお好み焼き」のほかに、西日本で親しまれている「はしまき」がある。はしまきは、火が通った生地を箸で巻いた後に、青のりや天かす、紅しょうが、ねぎなどのトッピングを施す店も多いが、形状は山形のどんどん焼きとほぼ同じだ。
 このように、名称や形状の違いはあれど、「屋台などで販売され、安価に食べられる軽食」という立ち位置はどの地域でも同様で、庶民のおやつとして、昔から親しまれてきた。

 

 どんどん焼きは、材料もレシピもシンプルだが、家で調理するというよりは、屋台やお店で購入して青空の下でいただく食べ物というイメージが強い。お祭りや外出時に食べるものとして記憶している方も多いのではないだろうか。ちょっと特別な存在ながらも、フランクに私たちに寄り添うどんどん焼き。屋台から漂うソースの香りを辿るように、そのルーツを探っていこう。
 2019年6月号(5/5発行号)特集「やまがたのどんどん焼き」。特集のレポートは順次更新していきます。お楽しみに。

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