特集の傍流

2019.10.4

世界の真実を映し続けてきた山形国際ドキュメンタリー映画祭。その歩みを振り返り、魅力を肌で感じる。

2019年11月号(181号)やまがたと映画祭。
山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局、ドキュ山ユースメンバー
山形県山形市

 1989年に産声をあげた山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)が、今年で16回、30年目の開催を迎える。当初、これほど長く続くことを想定した人はいただろうか。この映画祭のために世界各国から集まった作品は今年2000本を優に超え、その中から選ばれたおよそ170本の秀作が、限りある時間のなかで上映されるという。

 

映画分野でユネスコ創造都市認定

 2017年にはこの映画祭をはじめとした山形市の映像文化を育む環境が高く評価され、ユネスコ創造都市ネットワークへの映画分野での加盟が認定された。これは映画部門では国内唯一で、山形という街を特色づける大きな財産だ。その真価は、国内外の著名な映画監督や作家が寄せる言葉に答えがある。例えば、1995年のYIDFFで『につつまれて』、『かたつもり』が受賞し注目を集めた河瀨直美氏は「山形は、私の原点です。カンヌに負けない映画祭です」とメッセージを、YIDFF2005で『ディア・ピョンヤン』がアジア千波万波奨励賞を受賞したヤン・ヨンヒ氏は、YIDFFを「私にとって宝物のような“母校”です」と表現し、ベルリン国際映画祭フォーラム部門選考委員であり、YIDFF2013でメインの「インターナショナル・コンペティション」審査員を務めたドロテー・ヴェナー氏は「ドキュメンタリー映画を愛する人にとって、ここは地上の楽園、桃源郷のような場所」と讃えている。
 ドキュメンタリーは確かに多数派とは言えないが、その垣根は私たちが感じているほど高くない。作品のバラエティにおいてはむしろ〝事実は小説より奇なり〟、ノンフィクションであることでの臨場感、メッセージ性、純粋さが強く表われる分、そこに大きな興奮と価値が生まれ、観る人を惹きつける。

 

スクリーンを通じた国際的文化交流を

 山形に世界が集まる1週間。情勢を浮き彫りにする社会派の作品から、ファッションや芸術文化、自然環境、ヒューマンストーリーなど、そのジャンルも多様だ。だからこそシンプルに、好奇心の赴くままスクリーンと向き合ってみてはいかがだろう。今特集が山形と世界の人を繋ぎ、文化交流の場を生むきっかけとなれれば幸甚である。
 2019年11月号(10/5発行号)特集「やまがたと映画祭」。特集のレポートは順次更新していきます。お楽しみに。

 
 
※ TOP画像は、第1回山形国際ドキュメンタリー映画祭の開催前、仮装行列パレードでのPR活動の様子(1989年/山形市七日町、写真提供:荒井幸博氏)
※ 河瀨直美氏、ヤン・ヨンヒ氏、ドロテー・ヴェナー氏のコメントは、シネマ・パーソナリティ荒井幸博氏に寄せられたメッセージと、山形国際ドキュメンタリー映画祭紹介リーフレット(2014年3月31日発行)より引用
 

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