特集の傍流
認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭 理事長 大久保義彦さん、山形事務局長 日下部克喜さん
山形県山形市
2010年5月より、映画祭の理事長を務める大久保義彦さん。大学卒業後、県内の放送局に勤めていた大久保さんは、第1回のときには山形市制施行100周年記念事業の総務担当としても携わっており、山形国際ドキュメンタリー映画祭当初から関わりが深い。
「山形を舞台にした映画が撮られていたり、小川監督が移住されていたり、山形に映画文化の素地があったからこそ、ここまで続いてきたのだと思う。2018年には米アカデミー賞の公認映画祭に認定され、応募作品はますます増えている」と大久保さんは30年を振り返る。
映画マニアの祭典ではない、山形の価値を広める使命。
「市内の中学校が学校行事の一環として団体鑑賞することもあります。海外からいらした監督が、自分の映画を何百人もの若い世代が見ている様子を見て、『山形とはどんな街なんだ!?』と驚き、感動していました。中学生が鑑賞を希望した作品がグランプリを獲ったこともあります。大人が思っている以上に子どもの感性は侮れません」と大久保さんは話す。若い世代にも、映画祭は着々と広がりを見せているようだ。
大久保さんは今後について、「30年前とは社会環境が急激に変化していて、個々人の考え方や育ち、生活スタイルが変わってきている。『迎合する』ということではないが、時代に合わせた変化も必要と感じている」と話す。誕生から30年を迎え、世界に広がりを見せる山形国際ドキュメンタリー映画祭。今後、ますますの盛り上がりが楽しみだ。
メインプログラムの「インターナショナル・コンペティション」に注目!
さて、開催中である山形国際ドキュメンタリー映画祭だが、今回の見どころについて、事務局長の日下部克喜さんよりコメントをいただいたのでご紹介しよう。
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映画祭の顔ともいうべきメインプログラム「インターナショナル・コンペティション」は、世界の最新長編ドキュメンタリー映画を対象としたコンペ部門。今年はどの作品が大賞を獲得するのか、世界中の映画関係者が固唾を飲んで見守っています。このプログラムは全て日本初公開作品(なかには世界初公開作品もあります)なので、ここから日本での一般公開につながっていきます。ですから、誰よりも早く話題の作品を観られる貴重な機会なわけです。だからこそ、国内はもちろん海外からも遠路はるばる映画ファンが集うんですね。でもそれに比べて山形に住んでいたら、仕事帰りにふらりと立ち寄るなんてこともできちゃいますから、世界の最新作品に気軽に触れてもらえるという意味で、これは山形人にとっての特権だと言えるかもしれませんね。
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今回上映される「ミッドナイト・トラベラー」より。YIDFF事務局より「インターナショナル・コンペティション」から特に注目の作品として紹介いただいた。タリバンに死刑宣告を受けた映画作家夫妻が、子どもたちとともに欧州へ逃れるまでの3年間が、スマートフォンを駆使した映像で生々しく捉えられている。 写真提供/山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局

今回上映される「トランスニストラ」より。こちらもYIDFF事務局より「インターナショナル・コンペティション」から特に注目の作品として紹介いただいた。小国トランスニストリアで過ごす少年少女たちの、恋と友情の危ういバランスの上のつかの間の輝きを16ミリカメラが記録する。 写真提供/山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局
繰り返し触れられてきたことではあるが、世界中の映画関係者やドキュメンタリー映画のファンから熱い視線を送られている、山形国際ドキュメンタリー映画祭。今、ここでしか観ることができないというその真価を、やはり地元民こそ知っておくべきではないだろうか。
映画祭は10月17日まで開催。各プログラムと作品紹介については、ホームページ(https://www.yidff.jp/home.html)や公式パンフレットを確認しよう。
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