特集の傍流

2020.2.10

「令和」に改元した今年はとくに意識して飾りたい、雛人形に込められた願いとは。

2020年3月号(185号)やまがたに残る、節目の祈り。
お雛さま研究家 安部英子さん
山形県山形市

 長年、旧家に眠る雛人形の開箱運動に尽力してきた安部英子さんに、山形県内の雛まつりについて尋ねる。
「山形県内には江戸時代から伝わる享保雛をはじめ、元禄雛、有職雛など、時代を重ねて受け継がれてきた貴重な雛たちが大切に残されています。毎年この時期に公開されはじめると、寒さを感じる心持ちも緩み、気分が明るくなりますね」と安部さん。「とくに今年は令和と改元し、初めての雛まつりです。今春は、雛まつりの意義を更めて思いおこし、雛壇を飾りながら、即位礼で正殿にお出ましになられた折の天皇陛下や皇后様のお姿を思い浮かべられてはいかがでしょう」と続ける。

 

江戸時代から伝わる雛と、精巧な雛道具を見ることができる、酒田市の本間家旧本邸。2月下旬〜4月上旬開催。写真提供/本間家旧本邸

 

新庄藩藩主ゆかりの雛人形と雛道具を展示する新庄ふるさと歴史センター。2月中旬~4月上旬開催予定。写真提供/新庄ふるさと歴史センター

 

河北町の「谷地ひなまつり」では、町内の6箇所で貴重な時代雛が公開され、ひな市も開かれる。今年(2020年)は4月4日、5日開催。写真提供/河北町商工観光課(写真内の雛人形は河北町紅花資料館収蔵品)

 

酒造資料館 東光の酒蔵では、大正8年におきた米沢大火の際も土蔵に守られ難を逃れた、当主小嶋家に伝わる貴重な雛人形を展示。2月上旬~4月上旬開催。写真提供/酒造資料館 東光の酒蔵

 

受け継がれる想い、その慈しみを知る機会に

 ひな祭りは3月初めに行われた上巳の節句の際、草や紙、木で作った人形(ひとがた)に、厄や災いを移して川に流す『流し雛』の行事と、平安時代の宮中で行われていたままごと遊び『ひいな遊び』が合わさって生まれたと云われている。御子たちの成長と幸せを願う不変の親心が、雛を愛でる風習として残り、時代を紡いできたのだ。「かつて雛人形を有するような裕福な家では、3月節供になると子どもたちへ菓子などを振る舞うお雛見という習慣がありました。慈しみ深い行事だと思います」と安部さん。想いがあって継がれてきた雛たちを前に、託された親心をあらためて思い、感謝の心を伝えたい。

 

関連記事

上へ