特集の傍流

2020.4.14

山形市の印刷所が復活させた、味のある風合いのラベルが注目を集めています。

2020年5月号(187号)やまがた百年パッケージ。
文昇堂印刷 代表取締役 渡邉正昭さん
山形県山形市

 昭和30年頃のデパートや商店の包装紙のトメや値札、スタンプなどに使用されていたラベル。活字や版の凸部にインキをつけ紙に陰圧して転写する昔ながらの「活版印刷」と呼ばれる印刷方法で製造されたものには独特な凹凸や風合いがあり、現代のシールとはひと味違う高級感が漂っている。

 

色味や風合い、凹凸感…。昭和の温もりを現代に。
創業者のコレクションをきっかけにラベル復刻に取り組む

 昭和初期に活版印刷業として創業した「文昇堂印刷」が、レトロなラベルを復活させた。
 同社は昨年1月より、『山形市売上増進支援センターY-biz』に相談を重ねていたが、「歴史ある会社には必ず宝物がある」というプロジェクトマネージャーの尾上雄亮氏の助言をきっかけに、会社の歴史を改めて振り返ったという。

 

復刻した「昭和レトロラベル」

 

 渡邉正昭社長は「創業者の渡邉豊太郎が、東北で最初にラベル印刷を始めました。そのため初代が集めたラベルコレクションも多く、古い平圧式のラベル印刷機もありましたので、それらを生かしてラベル印刷の復刻をスタートさせました」と話す。

 

創業者のラベルコレクション。

 

 

懐かしの店はもちろん、現在も親しまれる店のラベルも見える。

 

 

ラベルコレクションの最後のページには、製造していた当時に定められていたラベルの寸法表が。

 

手づくりの温もりで近年見直される活版印刷

 近年では若者を中心に「昭和レトロ」がトレンドになりつつある。同時に、都内では専門店がオープンしたり、イベントが開催されるなど活版印刷の良さが見直されている。
 同社では活版印刷の良さを残しながら、現代でも安価に再現できる方法を試行錯誤。独自の技術を開発し、「昭和レトロラベル」として、昨年12月3日より受注を開始している。昭和30年頃のラベル印刷というと、性能が低く、印刷と抜き(切断)を別にすると狂いが生じるため、版と刃型が一体になった「入れ子」で印刷されていたが、これだと刃型の部分にもインキがつくため、ラベル周辺にも1ミリに満たない輪郭線が印刷される。「昭和レトロラベル」では、その輪郭線も再現し、より当時を思い起こさせる仕上がりになっている。

 

「昭和レトロラベル」の技術は山形三ツ星カツサンドのシールにも生きる

 

 「昭和レトロラベル」は、東京の大手カフェからの注文もあったという。渡邉社長は「ラベル印刷業は昔から絆が強く助け合ってきました。本事業のいずれは全国の小規模な同業者と連携して展開できればと考えています」と話す。
 山形発のレトロラベルが、全国を席巻する日も遠くないのかもしれない。

 

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