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話題のサスペンス映画を黒木あるじ著にてノベライズ化!「小説ノイズ〈noise〉」発売中
gatta!webの連載「あやかし取材帖」でおなじみ、黒木あるじさんの新刊は、1月28日に公開を控えた映画「ノイズ」のノベライズ本。藤原竜也、松山ケンイチのW主演映画ということもあり、骨太かつ型破りなサスペンスストーリーを期待している方々も多いことだろう。原作コミックから映画化、さらにに小説が編まれた経緯や背景について、ご本人に直撃インタビューして尋ねてみた。
「ノベライズを書くというのは自分にとって初めての経験だったので、話を受けた時は正直怖かったですね。なんで?俺?って(笑)人違いかなと思いましたよ。ただ出版元が、〈こいつならきっちり書くだろう〉と期待を抱いてくれたという点、さらに私に書けということはどこかいい意味で裏切ってくれという思惑もあると感じました。単に映画のシナリオを文字に起こしてっていうだけじゃなく、世界観は一切壊さずに小説としての面白さっていうのをちゃんと見つけ出して読者に届けるという課題をもらったと。だだ、黒木が書いた本ということで、従来の読者のなかには〈お化けもレスラーも出て来ねぇじゃないか〉と仰る人がいるかもしれないです。とはいえ読んだ後に〈時間の無駄にはならなかったよ〉と言ってもらえたらありがたいかなと思います」(黒木/敬称略以下同)
本のなかでは誰しもが心の奥にしまい込んでいるザラついた感情、はっきり見えないし聞こえないけど見過ごせない違和感のようなもの、このちょっとした〝ひっかかり〟がノイズとして物語を牽引し、読み手と小説世界の距離を近づけている。登場人物たちが悲しくも恐ろしい顛末へと転げ落ちていくさまは一様に哀れだが、その一方で共感のようなものを覚えてしまう感覚も無視できない。
「本のなかでは、いろんな人たちがどんどん狂気に囚われていきます。そのなかで誰が一番悪意の塊なのかっていうところを書きたいなと探っていて。だけど話が2転3転して結局誰がとは言えない。読んでもらった時、まさか自分はこんな滑稽なマネはしないよ、私には関係ないわって思うかもしれないど、さて本当にそうかなと」(黒木)
そう、物語の舞台は凶悪な事件や殺人などとは無縁なのどかな島。農家、漁師、役場の人、そんなどこにでもいる普通の人たちの身に起こる悲劇なのだ。これが共感を呼ぶ大きな所以ではないだろうか。
「映画のなかには出てこない、ましてやコミックにもないセリフを小説の最後に書きました。あれは目に見えない輩を扱うボクのなかから湧いてきた言葉だったなと思います。自分でもすんなりと落とし込むことができました」(黒木)
ラストまでページをめくる手を休ませない圧倒的疾走感を持った「小説ノイズ」は、作家・黒木あるじの新境地に触れられる話題作。集英社文庫より発行。
また映画「ノイズ」は2021年1月28日より全国ロードショー。山形県内では山形市ソラリス、MOVIE ONやまがた、天童市イオンシネマ天童、東根市フォーラム東根、三川町イオンシネマ三川で上映。

黒木あるじ
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