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写真上は、天童木工デザインチームの新シリーズ「bambi」。チェア、テーブルともにスギ圧密材を用い、必要最低限のパーツで構成したミニマルデザインは、匠の成形合板技術が最大限に活かされており、凛々しさのなかに丸みを帯びた温かみが印象的だ。
この、厚さ1mm程の薄い板(単板)を一枚一枚、木目が交差するように重ね合わせて作られる、成形合板による家具作りを得意とする「天童木工」。1940年の創業以来培ってきた家具作りの技術と、成形合板のノウハウを活かした新しい試みに挑み続ける企業である。
日本古来の建材に、新たな息吹を。
天童木工がこの春リリースした新製品は、古来より日本国内の代表的建築資材「スギ」を用いた家具シリーズ。国産スギは戦後、需要が見込まれて大量に植樹されたが、現在は供給のバランスが崩れ、森林の健全性が損なわれつつあるという。そうした状況を少しでも改善し再生の機会を創出するべく、天童木工のコア技術である成形合板技術と組み合わせたRoll Press Wood(軟質針葉樹圧密化・成形技術、以下RPW)が誕生した。圧密化・成形加工をすることで、スギのような軟質針葉樹にも十分な強度が生まれ、デザインの幅も自由に大きく広がった。素材本来のぬくもりや積層面の印象的なラインは、RPWならではの類まれな個性となったのだ。

単板に接着剤を塗布し成形。グラマラスに波打つ板が美しい。木を慈しみ、生かす職人技が要所で光る。
世界的トップデザイナーとのコラボレーションも。
今春リリースされた新シリーズは、剣持デザイン研究所、川上元美、今崎勉、小林幹也とのコラボレーションのほか、天童木工自社のデザインチームも担当。とことん使う人を想って仕上げられた新ラインアップは、スツールやチェア、テーブルなどすべてに、洗練されたなかにも狂いのない職人技の妙を感じることができる。現在、RPWを応用し、圧密したスギに薬剤を含浸させることによって、難燃、防腐・防蟻などの機能性も備えた技術開発が進められている。これまでの「強く、美しく、軽く」に安全安心という付加価値も加わるだろう。天童木工本社のショールームに行けば、コーディネートされた製品や歴代の名作、シリーズの家具を一堂に見られるほか、家具選びの相談も可能とのこと。針葉樹活用の最先端であり、伝統に裏付けされた止まることのない技術の進歩をぜひ肌で感じてみたい。

川上元美のデザインによる新作チェア。

剣持デザイン研究所による新作チェア。座り心地はぜひショールームで。

天童木工 本社ショールーム
0120-01-3121
9:30〜17:00
夏期・冬期休業あり
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