チマタの話題

2019.6.6

ナチュラルワインと地食材の優越。

2019年7月号(177号)掲載

 感覚的な共有を五感で得られる店に出会うのは心が弾む。それが地元ならば尚更だ。山形駅前の喧噪を抜けて徒歩数分、夕暮れ間近の「公園通り」沿いで、ひときわ賑わいを見せる一角。今年5月に開店し、カンティーヌ(食堂)のようなオープンな雰囲気が評判の『プルピエ』だ。カジュアルフレンチを土台とした料理とともに味わうのは、豊富なストックのナチュラルワイン。認定基準などは定められていないが、その分造り手の個性やテロワール(※)が直球で伝わるナチュラルワインは近年とくに盛り上がりをみせており、地の利が育む食材を使った料理とのペアリングで山形ならではの優越が味わえる、まさに待望されたスタイル。

 

店奥には温度管理された国内外のナチュラルワインがずらりと並ぶ。佐藤さんの祖母が以前酒屋を営んでいたということからも、由縁を感じるワインセラーだ。店がある町名の由来をもとに、桜の木を使ったというカウンターとペーパーコードの椅子が明るくカジュアルな雰囲気を醸している。

 

個性的なエチケットはまるでCDジャケットのよう。同店のオリジナルワイン(中央)は『ファットリア・アル・フィオーレ(宮城)』の委託醸造。

 

友人を連れて行きたくなる、山形の新しい“入り口”。

 洋酒のインポーターをしていた経験から、造り手の人柄や背景をきちんと伝えたい思いがあるという店主の佐藤さん。同店で仕入れるワインや食材に関しても、出来うる限り何度も生産者のもとに足を運び、納得したうえで提供するのが信条だ。

 

前菜盛り合わせ。

 

山形野菜のテリーヌと蕪のソース。このほか肉・魚料理やパスタなど時季変わりのメニューが揃う。

 

「飲食店もひとつの流通なので、銘柄に関わらず自分たちが本当に良いと感じられるものをフラットな視点で伝えられたら」と語る。紡いできた“縁のある味”を反映させる空間においても、椅子1脚から内装のデザインや施工、ロゴやステーショナリーにいたるまで、そのほとんどが食を通じて巡り合った友人らの繋がりを得て、協働で作り上げたものだ。ただ単に食事をするだけではなく、店内にいる人たちが皆一緒に食事を楽しんでいるかのような共鳴感があるのは、目に見えない隅々にまで彼らのストーリーや思慮がさりげなく込められているからかもしれない。

 

店主の佐藤洋一郎さんと、シェフの武田悠さん。

 

※テロワール:土地の意。品種生育地の地理、地勢、気候による特徴を指すフランス語。

 
 

POURPIER(プルピエ)

山形県山形市桜町2-42
電話/なし
営業時間/18:00〜1:00(24:00 LO)
定休/毎週月曜(不定休あり)
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