チマタの話題

2019.12.9

OMIKI×ARTで、伝統と革新を醸成。

2020年1月号(183号)掲載

置賜の酒蔵・芸術家が連携した、日本酒プロジェクト。

東洋のアルカディア」、かつて英国人女性旅行作家イザベラ・バードがそう讃えた置賜地域の本質を掘り起こし、持続可能な観光地域づくりを推進する2市2町(長井市・南陽市・白鷹町・飯豊町)の地域連携DMO『やまがたアルカディア観光局』が、各市町の酒蔵、国内外で活躍するグラフィックアーティストと連携し、お土産開発プロジェクトの一環として独自性を打ち出した4種のオリジナル日本酒を開発する「OMIKIプロジェクト」を進行中だ。

 

酒造りの成功を地元の神社でご祈祷してもらい、芸術家がデザインしたアートラベルを施し、若者や外国人観光客も視野に「SAKE」のハイブランドと位置付けた「OMIKI」を販売。地域文化の再発見と新たな揚力を生み出す狙いだ。

 

意見を交わす長沼合名会社の長沼氏と昇平氏。

 

プロジェクト関係者らが昇殿参拝し祈願を受けた。

 

地域の氏神の總宮神社の宮司・安部氏と、完成した地酒を手に取る昇平氏。

 

純米大吟醸「惣邑」の「OMIKI」バージョン。それぞれの銘柄で、紐しばりや箱も吟味される。(撮影/船山裕紀)

 

日本酒の味と風土に沿う、独創のアートに膨らむ期待。

同観光局民間メンバーの人脈を生かし、コラボレーションが実現した第1弾は、長井市の酒蔵・長沼合名会社と、ボールペンを主ツールとする精緻な作画で世界的な人気を誇る大友昇平氏が関わった、純米大吟醸「惣邑」の「OMIKI」バージョン。蛇頭と呼ばれる獅子頭をもつ「ながいの黒獅子」が描かれた独創的なアートラベルだ。

 

さらにほかの3市町でも、酒蔵・芸術家らの合議と交流が重ねられ、開発はいままさに大詰め。東の麓酒造(南陽市)×GravityFree、加茂川酒造(白鷹町)×Tenhundred、若乃井酒造(飯豊町)×DRAGON76といった豪奢な顔ぶれは、すでに酒とアート双方の世界がざわつく気配が漂い、作家らが置賜で感じた想いを創出する革新的アートと酒造伝統が醸成する1本に期待が膨らむ。いずれも来年1月1日に、特設ECサイトでのみ予約受付開始予定だ。

 

左から、南陽市の地域の氏神、熊野大社の権禰宜・北野氏、東の麓酒造の蔵人・高橋氏、国内外で壁画制作やライブペイントツアーを行うペインティングユニットGravityFreeのdjow氏と8g氏(撮影/船山裕紀)

 

GravityFreeの両氏は、晩秋に酒蔵見学や、稲刈りを体験し、アートラベル制作にのぞんだ。(撮影/船山裕紀)

 

若乃井酒造の杜氏・大沼氏と、ニューヨークを拠点に活動するDRAGON76氏。(撮影/船山裕紀)

 

地酒と郷土料理を囲みながら、同観光局の民間メンバーらと交流をはかるDRAGON76氏。(撮影/船山裕紀)

 

はるばるニューヨークから、白鷹町 加茂川酒造の見学に訪れたTenHundred氏。

 

醪(もろみ)仕込み室にて酒造り工程の説明を聞くTenHundred氏。

 

加茂川酒造の様々な銘柄を試飲。TenHundred氏は生酛造りの「八起」と、純米大吟醸「羽州白鷹山」を気に入った様子。

 

酒米が持つ香りと特徴を生かした加茂川酒造の酒は、純米大吟醸ほかどの銘柄を燗にしても香りが飛ばずに味わえるという。

 

白鷹 加茂川酒造は昔は〈朝日正宗〉と名のっていたが、その後大山 加茂川酒造(戦前に閉業)から暖簾分けし、現在の蔵名となったという。甲羅(玄武)は、当時暖簾分けの際に贈られたと言われるもの。

 

参加アーティストプロフィール

 

Shohei Otomo/大友昇平
1980年東京生まれ。美術大学で油絵を学ぶが日本の美術界の在り方に疑問を感じ、画材ではなく文房具であるボールペンを主なツールとしてイラストを描き始める。CarharttやSONY、Nike、adidas、Google等、国内外のさまざまな企業とのコラボレーションをする傍ら制作したオリジナル作品を世界各国の展示会で発表する。現在は神奈川県とメルボルンに拠点を移し作品を制作している。
http://www.shoheiotomo.com

 

Gravityfree
djow(デジョー)と8g(エイジ)によるペインティングユニット。現場の空気感や音の流れを汲み、絵は絶え間なく変化を遂げる。FUJI ROCKを始めとする日本の野外フェスティバルなどに出演し、現在も国内外での壁画制作やライブペイントツアーを行っている。
http://gravityfree.jp

 

DRAGON76

1976年滋賀県生まれ。ストリートアートを基本とし情熱的で生命力溢れるタッチで、国内外の企業広告やアパレルブランドとのコラボレーション、また音楽関連のビジュアルや壁画など幅広く手掛ける。また、即興で繰り広げられるダイナミックなライブペインティングは世界中からのオファーも絶えず多くの観客を魅了する。2016年からは拠点をニューヨークに移し活動中。
https://www.dragon76art.com

 

Ten Hundred(Peter Robinson)

ワシントン州シアトルのアーティスト兼デザイナーです。 彼はミシガン州で生まれ育ち、2006年にシアトルに定住する前に米国中を創作のために巡行。漫画やアニメ、ストリートアートや落書き、子供のような想像力、漫画、世界文化、宗教、民俗学に触発されてた、明るくカラフルで想像力豊かなキャラクター作品が特徴。 シアトル、ポートランド、デンバー、ロサンゼルスで作品を発表。 シアトル、ニューヨーク市、ロサンゼルス、カンザスシティ、東京、ブラジル、ブジオスに壁画を描いている。また、美術、ギャラリーショー、ワシントン州シアトルでのショップ「Statix」の運営や、衣類、おもちゃ、世界中の壁画のペインティング。Amazon、Nordstrom、Converse、Jet Blue、Lenscrafters、Monster、Caffe Vita、Sasquatch Music Festivalなどの企業ともコラボレーションしている。
https://www.tenhundredart.com

 

※撮影協力/(一社)やまがたアルカディア観光局、写真提供/船山裕紀

 

(一社)やまがたアルカディア観光局

山形県長井市東町2-50(道の駅 川のみなと長井内)
0238-88-1831
9:00〜17:00
https://arcadia-kanko.jp


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