表紙の小さな物語

2017.12.26

家族に由縁ある、温泉街散歩。

2018年1月号(159号)表紙

奥羽三高湯の中でも最古のいで湯であり、古くは湯治場として栄えた蔵王の温泉街へ。この日は、酢川温泉神社の参道石段をのぞむ温泉街メイン通りである「高湯通り」へ。こけし工房などのお土産屋を覗きながらの散策をしつつ、山形市の深瀬さんご一家と待ち合わせ。兄の荻丞(しゅうすけ)くんと、弟の壮二郎(そうじろう)くんは、さっそく道端に積もった雪を両手いっぱいにすくい、ふたりで雪玉をつくって遊んでいた。おじいちゃんが、蔵王にあるスキースクールの校長先生を務めていたこともあり、冬になれば家族みんなでよくスキーを滑りにくるというから、蔵王は幼い兄弟にとっても、すでに馴染み深い場所だ。

 

散策は、温泉街で最も古い公衆浴場「上湯」から小路を抜けて「川原湯」へ。通りの所々から立ち昇る湯気と町並みを見渡しながら歩けば、硫黄の香りが仄かに漂う、蔵王温泉に来たことを実感できる場所だ。川原の其処此処から温泉が湧きだしているところに、底を“スノコ”で敷いた湯舟が珍しい「川原湯共同浴場」の前を通る。浴場から流れ出る廃湯が水路にきらめき、もくもくと湯気をたてている光景は、風情ある温泉街の小路といったところ。

 

壮二郎くんが、小さい歩幅で駆けながら、荻丞くんを追いかける。いつもお兄ちゃんのそばにいて同じ遊びをしたがる様子が、微笑ましい。散策途中にあった喫茶店でお茶をいただきながら、長年蔵王でお仕事をしていたおじいちゃんから、蔵王に魅せられたアルペンスキーの名選手「トニー・ザイラー」や、芸術家「岡本太郎」のことなど、当時の興味深いエピソードを様々聞かせていただいた。もっとじっくりお話を聞きいていたいと思える、束の間の楽しいひとときであった。

 

兄の荻丞くんがダッシュ、それを見て弟の壮二郎くんも駆け出す。

 

両手にかかえた雪を得意気にみせてくれた。

 

其処此処に湯気が立ち昇る上湯周辺(高湯通り)も散策。

 

2018年1月号(159号)やまがたの温泉伝説
表紙モデル:深瀬萩丞くん(8歳)、壮二郎くん(2歳)
山形県山形市蔵王温泉

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