だれかの散文

2018.2.1

第22回:雪の日、鶴岡の中華そばで温もりを


今日の東京は大粒の雪がザンザン降っていて、「この雪による交通の影響が!」「出来る限り早めの帰宅を!」「大雪警報です!」朝からテレビではずっと伝えています。普段から雪と密に暮らしている地域の方は「それくらいぐらいで大騒ぎしなさんな」なんて思ったりしているんじゃないかと、昨日コンビニで見つけた“琴平荘”店主監修のインスタントカップ麺「琴平荘 中華そば」をズルズルすすりながら考えていました。

私が“琴平荘”さんのラーメンを知ったのは今から3年前、この日も今日のように朝から雪が降っていて「冬の鶴岡の海、寒さは厳しいけど綺麗だなあ・・」と思いながらも「お昼ご飯には絶対に温かいものを!」そう番組スタッフにお願いすると「並んでもいいなら行ってみませんか?」なんだかワクワクする提案をしてくれました。

 

「ここです!」カメラマンKさんが指差す先は公民館のような雰囲気の入り口。いやいや、お腹が空いてる時にかまされるギャグほどイラッとするもんはないですよ、さっさと本当のお店に連れて行ってくださいよ、やれやれ・・。そう思った瞬間、スタッフは次々に車を降りて玄関へ。慌てて後を追って中へ入り、奥へ奥へと続く廊下を進み、大きな襖の前にかけてある暖簾をくぐると「ここ旅館の大広間!!そしてそこが店!!」想像してなかったパターン!!

 

頭が混乱したままだとオーダーもろくに出来そうになかったのでどういうことなのかをじっくり聞いてみると、宿泊客が少ない秋から春先にかけてラーメンを提供してみてはどうかと思いつき、ラーメン好きな旅館のご主人が修行や研究をなさった後、麺や出汁にもこだわっていざ提供してみると、あまりの美味しさにあっという間に行列のできる人気店になったんだそう。確かに夏の間には家族連れや団体客などがカラオケなんかをしながら食事を楽しみそうなこの大広間にはどこのラーメン屋さんで見るよりも大勢のお客様が!

「なるほど!」ようやく状況が整理出来ると鼻先にはスープのいい香りが漂ってきて、お腹が注文を求めます。“中華そば あっさり こってり”“肉抜き中華”“メンマ中華”数種のメニューの中から、一番ベーシックと思われる“あっさり中華”をチョイス。山形のラーメンはどこで食べても美味しいけど、こちらはどんなだろう?すっかりこの大広間にも慣れてくつろいで待っていると、美味しそうな湯気を立てて熱々の丼が到着しました。控えめに縮れた麺はピカピカツルツル、あっさりとは言いながらトビウオの出汁もしっかり効いた美味しいスープ、チャーシューも海苔もメンマも大振り!!窓の外の雪のことをすっかり忘れるほど集中して頬張ってしまう程、最後の最後まで美味しい中華そばを頂くことができました。

(のちに取り寄せていただきましたが、それもたまらなく美味しかった)

 

本当ならば鶴岡で頂きたい。並んだっていい。あの唯一無二の環境でツルっと頂きたい。がしかし・・。

マルちゃん製麺さんが「生麺ゆでて うまいまま製法」で仕上げてくださったおかげでお湯をいれて5分待てばお口は一気に琴平荘へ。記憶の中のあの瞬間へ。

環境や雰囲気が美味しくさせる魔法が様々各所にある中で、本当に美味しいものは、どんな形になったとしてもやっぱり美味しい・・そんなことにようやく気がつく2018、冬。

 

いやホントはお店に行けたら一番なんですけどね。

 


加藤 紀子

プロフィール:

加藤紀子

92年に歌手デビュー。歌番組やバラエティー番組、ラジオなど幅広いメディアで大活躍するさなか、2000年より芸能界を休業し、パリへ語学留学。2002年に帰国し、芸能活動を再開。現在は、東海テレビ「スイッチ!」、NHK-FM「トーキング ウィズ 松尾堂」にレギュラー出演など幅広く活躍中。

加藤紀子ブログ「加藤によだれ」
http://ameblo.jp/katonoriko/

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