世界から山形へ、ラブコールが届きました

2026年2月号(257号)
特集|やまがた燦々
山形県全域

旅行雑誌の大手ナショナルジオグラフィックが発表した、2026年に行くべき世界の旅行先25選に山形県が選出。さらに国内最古の英字新聞ジャパンタイムズは、「世界に紹介したい自治体」として山形市を選んでいる。世界から贈られたその賛辞を改めて検討してみよう。

※ページ上部冊子の画像は「National Geographic 日本版 2026年1月号」と、「The Japan Times 2025年10月18日発行号」の誌面画像をもとに作成した水彩画タッチのイメージイラストです

山寺立石寺の参道の中腹にある「仁王門」には、(おもに江戸時代に)参拝記念として名前や屋号を記したたくさんの千社札が柱や梁を埋める。世界の著名誌が次々と山形を推しているいま。ここにいる私たちは、扉を引いて迎える時なのだろう
山形のなかでも代表的な観光地のひとつである、宝珠山立石寺(山寺)の根本中堂からさらに東の奥地にある「峯の浦」の霊域にある垂水遺跡。かつて山寺を開山した慈覚大師円仁が山寺の構想を練った場所と言われている
百丈岩と呼ばれる巨岩の頂上斜面に建ち、奥の院妙法堂で写経された法華経を、奉納するしている「立石寺納経堂」は、山寺の街並みを眼下にのぞむ絶景を見ることができ、宝珠山立石寺(山寺)のなかでも有名な景観。立石寺に所在した棟札の写しには、関ヶ原合戦と慶長出羽合戦の前年にあたる慶長4年(1599)に建立したと記録されており、風雪にさらされる厳しい環境で当時そのままの佇まいが随所に残っていることは、決して当たり前ではない

2つの誉れから感じた、注目されている実感

コロナが明けて以降の日本は円安の影響もあってか、訪日外国人の数が年々増加していると感じている。観光地に行けば必ずと言っていいほどアジア圏からの旅行者を見かけたり、みやげ店や飲食店、コンビニやレストランでも、繁体語やハングル文字、英語表記の案内板を見るようになった。

右/「National Geographic 日本版 2026年1月号」natgeo.nikkeibp.co.jp、左/「The Japan Times 2025年10月18日発行号」japantimes.co.jp

「山形」ってそんなにすごいんだっけ?

国内旅行者にとっては山形を旅先に選ぶ人は〝旅慣れた人〟と言われて久しい。東京、大阪、京都、北海道、沖縄といった国内トップの観光地と比べたら、刺激的なテーマパークや最先端のカルチャーはほぼ存在しないし、あるとしたら雄大な自然や歴史ある温泉、長年紡がれてきた民俗文化、また人情味にあふれたホスピタリティと極上のフルーツ、豊かな山海の食体験もーーアレ?!、ある、あるじゃないか! どれも素晴らしい地域の財産であり観光資源だ。

山形市にある宝珠山立石寺(通称:山寺)は、貞観2年(860年)に慈覚大師円仁によって開山された天台宗の古刹。奇岩怪石に囲まれた山全体にに多くの堂宇とかつての修行の場が点在する
山形県と宮城県にまたがる蔵王連峰で、1月下旬~2月下旬頃に見頃を迎える蔵王の樹氷。通称スノーモンスター、かつては「雪の坊」とも言われていた。特殊な気象とアオモリトドマツの着氷・着雪が織りなす神秘的な自然現象で、蔵王ロープウェイからの観賞や夜間ライトアップが人気
かつて江戸時代初期の大銀山として栄えた「延沢銀山」の名称に由来する、尾花沢市の銀山温泉。大正から昭和初期の木造多層建築の旅館が銀山川沿いに並ぶ、ノスタルジックな温泉街。ガス灯がともる夜の景色はとくに美しく、湯治客だけでなく景観を目当てにした観光客が世界中から訪れる

国内で唯一選出、2026年に行くべき世界の旅行先

ナショナルジオグラフィックは、2025年10月に発表した「Best of the World 2026」で、日本から唯一山形県を選出。「混雑を避けられる上質な旅先」と評価している。とくに「まだ多くの旅行者が訪れていない聖なる山々と静寂に包まれる寺社」「写真映えする温泉地と、四季を通じて開催される伝統的な祭り」「通年で楽しめる古くからの伝統と神秘的なアウトドア体験」と、その魅力について特筆し、注目のスポットとして、冬の樹氷を有する蔵王、精神的なハイキングができる山寺、おとぎ話から抜け出したかのような銀山温泉、山伏のマインドフルネスな体験ができる出羽三山、国連世界観光機関(UNWTO)からべスト・ツーリズム・ビレッジに認定されている西川町をリストアップして紹介している。

記事を読みながら「わかっているよ」そんな呟きが思わず口をついて出た。そう、わかっている。おそらくこれを読んでいる多くの県民の皆さんも共感しているのではないだろうか。山形が伝統的に育んできたカルチャーや地域資源はどれも特別で、心に響く体験を創生し、無二の旅のコンテンツとなり得る存在だということを。だからいまこそ、堂々と胸を張ってその賛辞を全力で受けとめたい。

山形市の目抜き通りを会場に開かれる「山形花笠まつり」は、3日間で1万4,000人の踊り手と100万人の観客を集める

ディスティネーション・リージョン第1号に選定

ジャパンタイムズは、持続可能な地域の実現に取り組む日本の自治体を「ディスティネーション・リージョン」と称して世界に紹介する事業を2025年からスタートさせた。その記念すべき第1号に山形市が選出され、同年11月、佐藤孝弘市長に記念の盾が贈られたという二ュースは記憶に新しい。選定では、〈1〉地域の文化・歴史遺産を保全し、未来の世代に継承すること、〈2〉地域資源を有効活用した持続可能な地域経済とコミュニティを育成すること、〈3〉取り組みを通じて、地域および地球規模の課題解決に貢献する可能性を示すこと、という3つの視点が重視されたという。

山形市が長年、山形国際ドキュメンタリー映画祭を開催していることや、映画部門でユネスコ創造都市ネットワークの一員となり、地域の芸術・文化を国際社会とつなぐ活動を続けていること、また創立から50年以上の歴史を持つ山形交響楽団の本拠地であることなども文化都市の象徴と評価された。併せて地下水熱エネルギーの活用についても、自然環境との融合を目指す先進的なローカルモデルと高く評されている。山形を長年潤してきた芸術文化と、その特性を活かした街づくりが、世界からの関心と期待を集めている。

gatta! 2026年3月号
特集|やまがた燦々

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