表紙の小さな物語
今日はお山で従姉妹会。逢叶ちゃん、みのりちゃん、ひな佳ちゃん
まだ夏の気配が冷めやらぬ8月下旬、集まった3人は従姉妹同士。黄色いTシャツのみのりちゃんとピンクのハットのひな佳ちゃんは同い年で今年5歳。
「いまから山登りするの?」
「リュックと水筒持ってきたよ」と、これから始まる小さな冒険に胸を躍らせている様子。一方まだ2歳の逢叶ちゃんは、初めて見る顔のスタッフや初めて来た場所に不安な様子。ちょっぴり人見知りモードからのスタート。
「いまからみんなでお山に行くんだよ」
「みーちゃんやひなちゃんと一緒にいっぱい写真撮ろうね」
声をかけてくれるママやおじいちゃん、おばあちゃんの声は逢叶ちゃんにもちゃんと届いている。でも知らない人や知らない場所は怖い。わかるわかる、そうだよね。
山形市内からそれぞれの車に分乗して一路、千歳山へ。標高にして471m、頂上まで100分もあればたどり着く低山だが、晴天の週末ともなれば健脚を競う人々で賑わいをみせる自然保養地だ。この撮影中も下山する何人かの登山客とすれ違い、愛らしい3人組に笑顔を向けてくれた。

「ほら、ここにいっぱいあるよ」ひな佳ちゃん、みのりちゃんが何かを発見。
登山道の公園口に着くと、ひな佳ちゃん、みのりちゃんは一気に駆け出した。
「ひなちゃん、みーちゃん、ちょっと待ってー」
年上ふたりのテンションにつられたのか、おじいちゃんに抱っこして離れなかった逢叶ちゃんも自分の足で歩き出す。さぁ冒険の始まりだ。

一番たくさん拾えるのは誰かな。
さっそく始まった山登りだが、デコボコ道は小さな足元を不安定にする。大きな石を避けて一歩ずつ、踏ん張りながら傾斜を進む。その慎重なスピードが良かったのか、山道の隅に何かを発見した。
「あっ、どんぐり」誰かが声を上げた。
「ほんとだ、ここにもある、わぁ、あそこにも!」
ひとつ見つけると次は早い。いつのまにか3人はどんぐり集めに夢中になっている。一番たくさん集めたのは、なんと逢叶ちゃん。
「どんぐり、見せてくれる?」とお願いすると、広げた小さな手のなかにあふれんばかりの大小のどんぐりが。
「すごいねー、たくさん拾えたね」
「うん」
「今日は写真撮らせてくれてありがとうね」
「うんいいよ」
逢叶ちゃんがやっと目を合わせてくれた。

両手いっぱいにどんぐりを拾って下山する逢叶ちゃん。ひと足早く小さな秋を満喫。

「こんなにあったよ」とひな佳ちゃんが見せてくれた松ぼっくりとどんぐり。
国道をせわしなく行き来する車と私たちを、大きく包み込むように佇む千歳山。遠景にはまだ盛夏らしい濃い緑色をまとっていても、その内側では、少しずつ秋を迎える準備が進んでいた。季節を映すシンボリックな存在であること、同じような〝街の顔〟でも、それが都会のビルとの圧倒的な差であることに安堵する。

逢叶ちゃん(2歳)、みのりちゃん(4歳)、ひな佳ちゃん(5歳)
山形市大字平清水(千歳山公園登山口)
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