特集の傍流

2021.10.18

庄内の味を未来へ、世界へ。山形生まれのエナジーバー。

2021年11月号(205号)山形式エナジーフード
1 Blue:デイビット・リップスさん、佐久間麻都香さん
山形県鶴岡市

 視線の奥まで広がる黄金色の庄内平野と、遠く北東の空にそびえる鳥海山を望みながら訪れた地は、鶴岡市藤島。「オリジナルのエナジーバーを製造販売している人がいる」と聞いて車を走らせることおよそ2時間。ドアを開くと明るい笑顔の女性が出迎えてくれた。

 

「ないなら作ろう」から出発した新しい旅

 出迎えてくれたのは佐久間麻都香さん。そしてもうひとり、オランダ出身のディビット・リップスさんが待っていてくれた。この2人が山形生まれのエナジーバー「SHONAI SPECIAL」を製造販売する会社『1 Blue』のメンバーだ。

 「私は登山が好きなのですが、そのとき手軽に食べられるエナジーバーを持っていきます。でも山形で好みのものが手に入らなかった。だったら作ろうとなりました」とデイビットさん。

 

取材に訪れた9月下旬はまさに稲刈り直前の時期で、秋風に吹かれた黄金の稲が波打っていた。佐久間さんとデイビットさんは「私たちがつくるエナジーバーは、こうした自然豊かな環境を守るためのレシピでもある」と話す。

 

地元の食材をエネルギーの源に

 試行錯誤を繰り返すなか、地元の農作物を使って地域にも貢献したいとの考えもあり、デイビットさんは庄内柿を入れるアイデアを思いつく。そこで共通の友人を介し、庄内柿の栽培に携わる佐久間さんに相談したところ意気投合。着想から2年以上の時を経て今年1月、商品化にたどり着いたという。「原料である玄米や柿に再び命を吹き込み、新しい食文化を提案したい。まさによみがえりのレシピです。」

 

山形の秋を代表する果物「庄内柿」は10月中旬〜下旬が最盛期。これを干し柿にすれば通年食として活用の幅が広がる。(写真:ディビット・リップスさん提供)

 

仙台市出身の佐久間さんは山大農学部で勉強するために来県し、以来鶴岡市を拠点に農業と観光振興に尽力している。(写真:ディビット・リップスさん提供)

 

 日本で行動食といえば、おにぎりが頭に浮かぶが、この「SHONAI SPECIAL」にも原料に有機発芽玄米が使われているためか、とても親しみやすい味に仕上がっている。ドライフルーツやナッツといった素材が噛むほどに口中でミックスされ、食感も楽しい。何より山形の雄大な自然のなかで補給する栄養が、地元由来の原料を含んだ100%天然素材である融合感は、ほかでは得難い経験だ。

 パッケージに描かれている庄内平野と柿、そして山伏の姿にも、この地の風土、食文化に対する敬いの年が表れている。

 

左)ジンジャー×レモン。ピリッとスパイシーな飽きのこない味。左)ココナッツ×カカオ。非加熱のカカオパウダーとココナッツフレーク入り。どちらも1本48g・324円。

 

エナジーバーには庄内産干し柿と有機発芽玄米粉が入っている。濃厚な味わいで満足感たっぷりだ。

 

「SHONAI SPECIAL」は100%天然素材、砂糖不使用、無添加、ヴィーガンフリー、グルテンフリーのエナジーバーだ。手軽に持ち運びしやすいミニマムなサイズ感も魅力。(写真:ディビット・リップスさん提供)

 

登山はもちろん、肉体労働な農作業中の行動食にも。(写真:ディビット・リップスさん提供)

 

 「庄内の柿は有名ですが、干し柿の生産となると決して盛んではなく農家にとっては悩みのタネでした。でも販路があることで継続した作り手を育成することができたり、現代の用途に合った提案をしていくことで長年守られてきた庄内の味覚を未来へ繋ぐことができると思うんです」と佐久間さん。「事業を始めたばかりの頃は言葉の問題もあり、うまくコミュニケーションできなかった」と話すデイビットさんだが、エナジーバーづくりを通して溶け込むうちに、仲良しの農家さんや仲間が増え、いまではすっかり庄内通に。「今年の冬には干し柿の文章を増やした新しいレシピを完成させます」とのこと。旅はまだ始まったばかりだ。

 

1 Blue)山形県鶴岡市藤島字笹花58-1
https://shonaispecial.jp
(販売店の詳細・webでの購入は上記URLにて)

2021年11月号(205号)
山形式エナジーフード

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