特集の傍流

2017.2.15

お客様が、また来たいと 思えるおもてなしを。

2017年3月号(149号)活躍の舞台はYAMAGATA。
山形グランドホテル「ラ・セーヌ」ウェイトレス
ティファニー・オクタヴィアさん
山形グランドホテル(山形市)

美術館のようなロビーを隣に、人々の行き交う心地よいノイズを感じることができる、山形グランドホテル1階レストラン「ラ・セーヌ」。地元の人や観光客をはじめ、日々様々な人が行き交うその場所で、ウェイトレスとして活躍しているティファニー・オクタヴィアさんを訪ねた。

 

心が伝わる笑顔で、今日もお待ちしております。

「山形に来た時はすごく田舎だなあと思いましたが、今はそれほどでも。若い方も結構多いですし」と、山形への印象の変化を語るティファニーさん。
県都山形市における、都市型ホテルの草分けとして昭和46年に開業した山形グランドホテル。2015年10月より「ラ・セーヌ」で働いているティファニーさんは、『セーラームーン』や『名探偵コナン』などの日本のアニメや漫画の影響もあって、幼い頃には既に日本への興味や憧れがあったといい、その強い気持ちから故郷・インドネシアの大学の日本語学科で日本語を修めたという。
「私、日本語まだまだですので」と謙遜する姿に、日本の雰囲気に染まっているためだろうか? などと感じてしまったが、謙遜した返答をするのは日本人に限った話ではなく、どうやらアジア人特有の反応であるようだ。

 

山形に来て1年半ほど。山形は「雪が降るところ」も好きで、白くて綺麗な光景に魅力を感じるとのこと。赤道にまたがるインドネシアには冬がないため、自然の寒さや雪に強い憧れを抱く人も多いという。

 

大学卒業後は現地の企業に就職したが、日本に行ってみたい、日本で仕事をしてみたいとの気持ちから、念願の来日を果たした。彼女にとっては知らない異国の土地ではあるが、「日本は治安がいいというので」と、来日の際の不安は特に無かったと話す。

ちなみに来日当初は福島県にも住んだことがあり、大分日本での生活に慣れた頃に、山形へと移住。山形に来て以降もさほど文化的ショックを受けたことは無かったというが、詳しく訊いてみると「温泉」にまつわるエピソードが。

 

山形県は全国で唯一、全市町村に温泉が湧出している「温泉王国」である。その温泉に、服を着たまま入ってしまったことがあるとのこと。我々からしてみればびっくりだが、インドネシアの習慣を知ればそれも納得できる。というのも、インドネシアではバスタブに入って体をお湯につける習慣がないのだ。現地でのお風呂は桶を使った水浴びが主流で、いわば行水なのである。その行水も服を脱いで裸で行うということはなく、筒状の布をスカートのように体に巻いて、その上から水を浴びるのだ。
ティファニーさんからしてみれば、裸になって大勢でお風呂の時間を共有する日本の習慣はとても奇異に映ったことだろう。
そんなティファニーさんも、今では温泉が好きになり、「特に銀山温泉はお風呂も雰囲気も最高です」と話してくれた。

 

また、ティファニーさんは、山形で好きな食べものに「芋煮」を挙げる(ちなみに味噌味がお好きとのこと)。
インドネシアでは、芋煮のように皆で食べ物を作って囲むという習慣があまり無いのだといい、ご友人に誘われて川原での芋煮パーティーに参加したが、川原で食べ物を調理して食べるということにも驚いたという。
そんな「芋煮」は誰でも手軽に、気軽に飛び込めるところがある。県民はさほど意識していないかもしれないが、芋煮鍋を囲めば皆仲間という感覚が山形にはあるのではないだろうか。それは芋煮に限った話ではないかもしれないが、誰かと食事を囲むだけで、知らない土地と自分の距離がぐっと縮まる感覚は多くの人にとって覚えのあることだろう。

 

人と話すことが好きだといい、職を選ぶ際も「人と直接関わることのできるサービス業を」と、縁のあった山形で当レストランを選んだティファニーさん。

 

ホテルを訪れた人に食事を楽しんでもらうための心地よい時間と空間を提供するため、スタッフ同士のミーティングや、厨房と料理を出すタイミングの相談などが行われる。

ホテルを訪れた人に食事を楽しんでもらうための心地よい時間と空間を提供するため、スタッフ同士のミーティングや、厨房と料理を出すタイミングの相談などが行われる。

 

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接客業で欠かすことができないものの一つが会話だが、山形における方言・・・山形弁には慣れるまでに時間がかかった様子。

「お客さんに、『ティファニーこわいですか?』って聞かれて『えっ、どういうことですか?』って(笑)。全然分からなくて。私が思った『こわい』は、本当に〝怖い〟。このお客さん、私のことが怖いのかな?と思ってしまいましたね。同じスタッフの人から、『それは山形弁で、疲れてるんですか?っていう意味だよ』と教えてもらいました。友達もお客さんもみんな山形弁をしゃべるので、ちょっと分からないことも(笑)」

そう言いながらも、戸惑いながらも少しずつ分かるようになってきたという山形弁。「○○べ〜、〇〇ず〜という語尾が、親しみやすい感じがして好きです。いつもいらっしゃるお客さんもよくお話ししてくださいますし、たまに私の国について訊いていただけて凄くうれしい」と微笑む。

「お客さんともっと話したい気持ちもありますので、日本語をもっと上達させたいなって。お客さんがこのレストランにまた来たいと思っていただけるような接客をこれからも頑張りたいです」と今後の目標について話してくれた。それは人との出会いを心から楽しむ、素敵な笑顔だった。

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