特集の傍流

2019.4.12

言論、表現は自由です。あなたもできる本づくり。

2019年5月号(175号)やまがた 市民の出版物。
企業組合リンクシップ 副理事・自分史活用マスター 伊藤洋子さん
山形県山形市

時代の変化とともに自身の人生を振り返られるツールとして、近年注目を集めている自分史。山形市内で自分史の作成や活用法の講座を開く『リンクシップ』の伊藤洋子さんは、「自分史は、退職の節目や企業の社長さんがまとめるイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。もっと気軽に考えていいんです」と話す。

 

 自身のこれまでの足あとをまとめ、記録に残す。最も身近で、始めやすい出版活動。

 前職でも本づくりや広告に携わってきたという伊藤さんは、東日本大震災の被災者が、瓦礫の中からアルバムを探す姿を見て、思い出を記録に残しておくことの重要性を改めて感じたという。その後、一般社団法人自分史活用推進協議会が認定する自分史活用アドバイザーを取得。現在はさらにその上となるマスターとして活動している。

 

伊藤さんをはじめ、リンクシップが手がけてきた本の一部。

 

自分史というと、一冊の分厚い本にまとめることを想像する人もいるかもしれないが、伊藤さんは「自分の歩んだ道を振り返ることが大切で、本にする必要はありません。写真や動画でも良いですし、最近ではスマートフォンにライフログとして記録している方もいます」と話す。伊藤さんの講座では参加者自身が執筆をするが、思い出が詰まった一枚の写真からそのエピソードをまとめる自分史づくりもあり、ハードルは高くない。「人それぞれに人生がある。自分史づくりを通して紐解いていくことが気づきのきっかけになり、さらにコミュニケーションが広がっていけば」と伊藤さん。

 

いくつかの作例を元に説明してくださった伊藤さん。

 

2014年から毎年行っている自分史講座。受講者数は年々増えている。写真提供/企業組合リンクシップ

 

同社では、山形市内の公民館での講座の開催のほか、個人からの自分史づくりの相談も受け付けている。これまでに、会社社長の自分史をはじめ、個人の山登りの記録をまとめた本なども手がけてきた。

「例えば、父親から息子に自身の想いを、直接口頭で伝えるというのは、ちょっと恥ずかしいですし、難しい面もあるかもしれません。ですが、本や文章にまとめることで伝わりやすくなることも多いです。また、本人が亡くなった際に、生前に聞けなかったことや、知らなかったことが残るのも、遺族にとっては嬉しいことだと思います」と伊藤さんは話す。
最も身近な個人の出版物である自分史。形に残すことで、次世代にも自身の想いが生き続けるのかもしれない。

 

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