特集の傍流

2020.4.4

目にすれば瞬時に思い浮かぶ、あの店のあの商品……。パッケージの魅力とは。

2020年5月号(187号)やまがた百年パッケージ。
木村屋、樽平酒造、矢萩食品、玉屋総本店、十一屋 ほか
山形県鶴岡市、川西町、山形市 ほか

「包」という字は、胎児が母親のお腹のなかで育まれている形からできたという。そこに飾り整えるという意味を持つ「装」を並べたのが〝包装〟であり、それだけ大切なものを包み守る行為を表す。日本人にとって包装=パッケージとは単に商品を持ち運ぶ手段ではない。気遣いや思いやりといった気持ちに寄り添う思慮深さを表す行為だ。

 

包装に焦点を当て、
山形の商業文化を知る

 古くは祭事で使われる水引の存在のように、日本人にとって包むという行為は特別な価値観を持って今日まで継承されている。現代のように紙が簡単に手に入るのが当たり前ではない時代には、風呂敷のように布を用いた〝包む〟文化も生活に取り入れられてきた。
 今回の特集はそれだけ日本人にとって馴染み深い行為に対するリスペクトであると同時に、包装の観点から山形の商業文化を振り返り、長年親しまれている商品や企業のパッケージデザインに込められた秘話を紹介しようと企画したものだ。あの包装を見ると安堵するといった、郷愁に信頼が加わった商品に焦点を当てて取り上げたい。

 

老舗が多い山形に残る
レジェンドパッケージ

 そしてご存知のかたも多いだろうが、山形県は100年以上続く老舗企業が京都府に次ぐ全国で2番目に多い土地柄。これは時代の変化に合わせて業態を変えながらも実直なものづくりを続けてきた企業が多いこと、さらには長く愛され続けている良質な商品が多く残っていることにも比例するだろう。

 

帝国データバンク2019年の調査では、業歴100年となる企業を含めた老舗企業は県内に766社存在する。写真は玉屋総本店。

 

 ブームをなぞらえる表現に、かつて「流行は30年ひと昔」と言われた時代があった。しかしそれはすでに死語となり、現代は「10年ひと昔」である。今回紹介する商品とそのパッケージデザインは、いわゆるスピード重視の資本主義経済社会において、100年以上の歴史を持つ老舗企業が50年以上の長きにわたって作り続け、いまなお前線で他をリードしているレジェンド商品たちばかりである。1周回ってどころか2周回ってもなお支持されている所以と、見れば無意識下で山形DNAが反応するパッケージの魅力に迫り、その物語を山形の誇りとして蓄積したい。〝包む〟文化から紐解く、山形に残る親しき印刷技術の発展にも迫る。
 2020年5月号(4月5日発行号)特集「やまがた百年パッケージ」。特集のレポートは順次更新していきます。お楽しみに。

 

 ※ TOP画像は、昭和10年頃に謄写版印刷(ガリ版)で作られた置賜地方の包装紙(山形謄写印刷資料館にて)。料理店や和菓子の包み紙などが目立つ。後ほど「特集の傍流」記事にて紹介。

 

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