なぜ“こけし”は、愛され続けるのか

2026年4月号(258号)
特集|KOKESHI SPIRITS
山形県全域

1960年代後半の温泉観光地ブームによって土産品として〝こけし〟が大ヒット。さらに2010年頃からは創作こけしが人気を集め〝こけ女〟なる愛称も誕生、第3次ブームに。なぜ“こけし”は愛され続けるのか。蒐集家、研究家、民芸品販売店、行政や団体、そして工人を訪ね歩き、その魅力の骨頂に迫ります。

※アイキャッチ写真:「やまがたみちのくこけしまつり」近年の受賞作品を中心に集合した、山形県内在住の工人が製作したこけしたち(鬼籍に入られた工人含む)

2025年12月の「みちのくこけしまつり」で初披露された、上山・荒井金七型の復元こけし。天童の白鳥保子工人が、この上ノ山温泉伝統こけしを製作していた親族の許可を得て製作。時空を超えた新しさを感じる1体。 ※撮影協力:芳賀静雄(山形県こけし会)

穏やかで愛らしい日本人顔の木地玩具

木肌の温もりが伝わる木地玩具「こけし」。その表情は穏やかで愛らしく、頭や胴には華やかな花模様などが赤い染料で描かれている。発祥は江戸時代後期、宮城県の鳴子温泉や遠刈田温泉、福島県の土湯温泉とされており、湯治客の間で人気を博し全国に広まったと伝わる。昭和初期には日本初のこけし専門書が発行され、これが最初の〝こけしブーム〟となった。

第44回 みちのくこけしまつり 第1部:伝統こけしの部、第2部:木地玩具の部で入賞した作品を中心とした集合。撮影協力:みちのくこけし協会(山形市ブランド戦略課)

約6000体を収蔵するみちのくこけし協会

毎年春に宮城県白石市で開かれる「全国こけしコンクール」、鳴子温泉郷で夏に開かれる「全国こけし祭り」、山形市で冬に開かれる「みちのくこけしまつり」、この3大こけしまつりへの参加が一年の楽しみだと話すファンも多い。こけしまつりは全国の名工たちが優れた作品を出品し、その技術や意匠を競い合うコンクールを兼ねている。

「当会では約1500体の入賞作品と、コレクターからの寄贈品約4500体のこけしを管理しています」と話すのは平吹さん。「数多のこけしを所蔵していますが、すべての顔、柄、一つひとつが違います。そこが魅力のひとつ」とも。同じく松本さんは「同じ工人さんでも時代によって筆さばきに変化があり、知るほどに奥深さを感じています」と続ける。

時代を超えてブームを起き起こしてきた東北発祥のこけし。今特集ではそんなこけしの人を惹きつける所以に触れてみたい。

山形のこけし界を牽引してきた蔵王高湯系の故・岡崎幾雄氏の描彩(2025年没・行年91歳)撮影:gattahouse(2013年9月)
岡崎幾雄氏79歳のころの蔵王高湯系・岡崎栄治郎型のこけし。筆力にまったく衰えを感じさせない見事な描彩(2025年没・行年91歳)撮影:gattahouse(2013年9月)
蔵王高湯系の故・岡崎幾雄工人のこけしがならぶ蔵王温泉街の能登屋本店内。撮影:gattahouse(2013年9月)
蔵王高湯系の故・岡崎幾雄氏の描彩(2025年没・行年91歳)。工人数が減少していく山形県のこけし界において、山形県こけし会会長も長く務め、その牽引者としての役割を十分果たしていた。撮影:gattahouse(2013年9月)

gatta! 2026年4月号
特集|KOKESHI SPIRITS

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